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再就職手当はもらわない方がいい人・もらった方が得な人!損しない判断基準

この記事でわかること
  • 再就職手当が損か得かは「残日数・退職理由・勤続見込み」で決まること
  • もらわない方がいい人・もらった方が得な人の具体的な特徴
  • 手当額の計算方法と受給額の目安、2025年改正の影響
  • 受給できないケースと申請の流れ・期限

「再就職手当はもらわない方がいい」という声を、ネット検索で見かけたことがある人は多いはずです。
せっかく早く再就職を決めたのに、手当を受け取ると損をするのではないか。
そんな不安から、申請そのものをためらう人も少なくありません。

結論から言うと、再就職手当が損になるかどうかは、あなたの置かれた状況によって変わります。
残っている給付日数、退職の理由、次の職場で長く働ける見込みがあるか。
こうした条件の組み合わせで、得になる人と損に感じる人がはっきり分かれます。

この記事では、もらわない方がいいと言われる理由を制度の仕組みから解きほぐしたうえで、あなた自身がどちらに当てはまるのかを見極める判断基準を整理します。
2025年4月の法改正で変わったポイントも踏まえて、後悔のない選択ができるよう、初心者にもわかりやすく解説していきます。

目次

再就職手当はもらわない方がいいかは状況で決まる

再就職手当について調べると、得だという意見と損だという意見の両方が出てきて、かえって混乱してしまう人が多いようです。
どちらも正しく、どちらも不正確です。
なぜなら、この手当が得か損かは、受け取る本人の条件によって答えが変わるからです。

一律に「もらわない方がいい」と決めつけてしまうと、本来なら数十万円を受け取れたはずの人が申請を見送ってしまうことになりかねません。
逆に、条件を確認せずに飛びついた結果、後から後悔するケースもあります。
まずは、なぜ一概に損とは言えないのか、その理由を押さえておきましょう。

一律に損とは言えない3つの理由

再就職手当が損だと感じるかどうかは、いくつかの前提条件に左右されます。
同じ制度でも、受け取る人の状況次第でメリットの大きさがまったく違ってくるのです。

損だと言い切れない主な理由は、次の3つに整理できます。

  • 早く決まった人ほど給付率が高くなる仕組みで、残日数を多く残すほど支給額が増える
  • 手当は非課税で、所得税や住民税がかからないため受け取った額がそのまま手元に残る
  • 手当を受け取っても、失業保険を待ち続ける間の生活費や機会損失を考えると総額で上回ることが多い

再就職手当は、失業保険を受給中に早く就職を決めた人への就職祝いのような一時金です。
基本手当日額に残日数と給付率をかけて計算され、就職のタイミングと賃金水準によっては100万円を超えるケースもあります。
つまり、条件が整えば決して小さな金額ではありません。

まず確認したい「残日数・退職理由・勤続見込み」の3条件

自分が得になる側なのか損に感じる側なのかを判断するには、3つの条件を最初に確認するのが近道です。
この3点を押さえるだけで、判断の方向性がほぼ見えてきます。

判断の土台になる3条件を、次の表にまとめました。

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確認する条件得になりやすいケース損に感じやすいケース
支給残日数所定給付日数の3分の2以上残っている3分の1ぎりぎりしか残っていない
退職理由会社都合で給付日数が長い自己都合で給付日数が短い
勤続見込み前職と同等以上で長く働ける1年以内に辞める可能性がある

この3条件のうち、あなたがどこに当てはまるかで判断が変わります。
すべてが得になりやすい側にそろっているなら、迷わず申請を検討してよいでしょう。
一方で損に感じやすい側に寄っている場合は、この後の章で紹介する落とし穴やチェックリストをじっくり確認してから決めることをおすすめします。

再就職手当をもらわない方がいいと言われる主な理由

なぜ「もらわない方がいい」という声が広まっているのか。
その背景には、制度の仕組みに対する誤解と、実際に存在するいくつかのデメリットが混ざっています。
ここでは、よく挙げられる3つの理由を一つずつ見ていきます。

理由を正しく理解すれば、それが自分にとって本当にデメリットなのか、それとも誤解なのかを冷静に判断できるようになります。
感情的に「損だから避ける」のではなく、仕組みを知ったうえで選ぶことが大切です。

失業保険を満額受け取るより総額が減って見える仕組み

もらわない方がいいと言われる最大の理由は、失業保険を満額もらう場合と比べると、手当の額が目減りして見える点にあります。
再就職手当は残日数のすべてが支給されるわけではなく、給付率をかけた分だけが一時金になるからです。

具体的には、支給額は次の計算式で決まります。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合:基本手当日額×支給残日数×70%
  • 支給残日数が3分の1以上残っている場合:基本手当日額×支給残日数×60%

たとえば残日数分の失業保険を100とすると、再就職手当として受け取れるのは60から70にとどまります。
この差だけを見ると、確かに損をしたように感じてしまいます。
ただし、これは失業保険をすべて受け取るまで無職でいることが前提の比較です。
早く働き始めれば給与収入が加わるため、総収入で見ると印象は変わってきます。

一度受給すると3年間は再受給できない制限

もう一つの理由が、一度再就職手当を受け取ると、その後3年間は再び受け取れないという制限です。
これは制度上のルールであり、短期間での転職を繰り返す可能性がある人にとっては見逃せないデメリットになります。

再就職手当の受給要件には、過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の給付を受けたことがないことが含まれています。

過去3年以内に、就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。

出典:厚生労働省・ハローワーク「再就職手当のご案内」(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001129215.pdf

つまり、いま手当を受け取ると、この先3年のうちに再び転職して失業保険を受けても、再就職手当は請求できません。
近いうちにもう一度転職する可能性が高い人は、今回は温存して次に備えるという判断が合理的になる場合があります。

早期退職すると次の失業保険に影響するリスク

再就職手当をもらった後すぐに辞めてしまうと、次の失業保険の受給に影響が出る可能性があります。
これも「もらわない方がいい」と言われる背景の一つです。

早期退職に関わるリスクは、次のように整理できます。

  • 再就職手当を受け取ると、その分の給付日数を先に消化した扱いになる
  • ただし手当を受けた後に離職した場合、手当分を除いた残日数を受給できる可能性がある
  • 短期間で辞めると次の就職先を探す期間が延び、生活が不安定になりやすい

再就職手当を受け取った後に万一離職して失業状態になった場合、手当分を除いた残りの日数分を受給できる可能性があるため、まずはハローワークに相談するよう案内されています。
とはいえ、短期離職を前提に手当を受け取るのは望ましい姿ではありません。
次の職場で腰を据えて働けるかどうかを、受給前によく考えておく必要があります。

そもそも再就職手当とは?失業保険との違いをやさしく解説

ここまで読んで、そもそも再就職手当と失業保険の違いがよくわからないという人もいるかもしれません。
判断を誤らないためには、制度の基本をきちんと理解しておくことが欠かせません。
この章では、初めての人にもわかるように、制度の目的から違いまでをやさしく解説します。

両者は名前が似ていて混同されがちですが、目的も支給のタイミングもまったく異なる制度です。
違いを押さえておくと、この後の損得の話がぐっと理解しやすくなります。

制度の目的と対象になる人

再就職手当は、失業保険を受給している人が早く再就職を決めたときに支給される、早期就職を後押しするための制度です。
国が早期の再就職を促すために設けた、いわばインセンティブとしての役割を持っています。

対象になるのは、次のような条件を満たす人です。

  • 失業保険(基本手当)の受給資格があり、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
  • 1年を超えて安定して働くことが確実な職業に就いた、または事業を開始した
  • 過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受けていない

対象は正社員に限りません。
契約社員や派遣社員であっても、1年を超える雇用の更新が見込まれる場合は対象になり、条件次第では自営業やフリーランスとして開業した人も受給できます。
自分は正社員ではないから関係ないと思い込まず、まずは要件に当てはまるか確認することが大切です。

失業保険(基本手当)との根本的な違い

失業保険と再就職手当は、どちらも雇用保険から支給されますが、目的が正反対と言ってよいほど違います。
失業保険は失業中の生活を支えるためのもので、再就職手当は早く働き始めることを促すためのものです。

両者の違いを表で比べてみましょう。

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項目失業保険(基本手当)再就職手当
目的失業中の生活を支える早期の再就職を後押しする
支給の形認定を受けるごとに分割で支給就職が決まった後に一時金で支給
受け取る条件失業状態で求職活動をしている安定した職に早く就いた

このように、失業保険は働いていない間の生活保障であるのに対し、再就職手当は働き始めた人へのお祝い金という位置づけです。
再就職手当は、残っている失業保険を受け取れなくなる代わりの一時金だと考えるとわかりやすいでしょう。
早く決めた人が損をしないように用意された制度なのです。

給付率が60%と70%に分かれる基準

再就職手当の金額を左右するのが、60%と70%という2段階の給付率です。
どちらが適用されるかは、就職した時点で失業保険の残日数がどれだけ残っているかで決まります。

給付率が分かれる基準は、次のとおりです。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合:給付率70%
  • 支給残日数が3分の1以上3分の2未満の場合:給付率60%

たとえば所定給付日数が90日の人なら、残日数60日以上で就職すれば70%、30日以上60日未満なら60%が適用されます。
早く決めるほど高い給付率になり、受け取れる金額も増える仕組みです。
この10ポイントの差は最終的な支給額に大きく響くため、就職のタイミングを考えるうえで意識しておきたいポイントになります。

再就職手当をもらわない方がいい人の特徴

ここからは、具体的にどんな人が再就職手当をもらわない方がいいのかを見ていきます。
自分が当てはまるかどうか、チェックしながら読み進めてください。
該当する項目が多いほど、慎重に判断した方がよいと考えられます。

ただし、もらわない方がいいというのは、あくまで手当の受給を急がない、あるいは温存するという意味合いです。
受給要件を満たしているなら、最終的にはメリットとデメリットを天秤にかけて決めることになります。

残日数が3分の1ぎりぎりで支給額が少ない人

支給残日数が所定給付日数の3分の1ぎりぎりしか残っていない人は、受け取れる金額がどうしても小さくなります。
残日数が少ないうえに給付率も60%止まりになるため、手当としての魅力が薄れてしまうのです。

残日数が少ない場合の受給額のイメージを、次に示します。

  • 残日数が多い人:基本手当日額×多い残日数×70%で数十万円規模になることもある
  • 残日数がぎりぎりの人:基本手当日額×少ない残日数×60%で数万円程度にとどまる場合がある

このケースでは、手当の額が小さいために、あえて急いで申請するメリットが感じにくくなります。
もっとも、少額でも非課税で確実に受け取れるお金であることに変わりはありません。
金額の大小だけでなく、手続きの手間と見合うかどうかも含めて判断するとよいでしょう。

過去3年以内にすでに受給している人

過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当をすでに受け取っている人は、そもそも今回は受給できません。
これは判断の余地がない、明確な受給対象外のケースです。

該当するかどうかは、次の点を確認してください。

  • 前回の転職で再就職手当を受け取ったのが3年より前かどうか
  • 常用就職支度手当を過去に受けていないかどうか
  • 雇用保険受給資格者証や過去の支給決定通知で受給歴を確認する

過去3年以内に受給歴がある場合、要件を満たさないため申請しても支給されません。
自分に受給歴があるかどうかあいまいな場合は、ハローワークで確認してもらうのが確実です。
知らずに申請して後から対象外とわかると、手続きが無駄になってしまいます。

入社後1年以内に辞める可能性がある人

再就職した会社を1年以内に辞める可能性が高い人は、手当の受給を慎重に考えた方がよいでしょう。
先ほど触れたとおり、一度受給すると3年間は再受給できない制限があるためです。

このケースで意識しておきたいのは、次の点です。

  • 再就職手当を受け取ると、3年以内に再び失業しても手当を請求できなくなる
  • 3年以内にもう一度転職する見込みがあるなら、今回は温存する選択もある
  • 次の職場が自分に本当に合っているか、入社前によく見極める

試用期間付きの採用や、早期終了の可能性が高い有期契約の場合は、そもそも1年超の雇用見込みという受給要件を満たさないこともあります。
近いうちにまた動く可能性が高いと感じているなら、今回の受給は見送り、より確実に長く働ける職場に就いたときのために取っておくのも一つの考え方です。

焦らず条件の良い転職先をじっくり探したい人

手当ほしさに就職を急ぐより、時間をかけて条件の良い転職先を探したいという人にとっては、再就職手当が判断を歪める要因になりかねません。
手当を得るために早く決めることが、かえって不本意な選択につながる恐れがあるからです。

じっくり探したい人が意識すべき点は、次のとおりです。

  • 手当の給付率は早く決めるほど高いが、それに引きずられて妥協しないこと
  • 数十万円の手当より、長く働ける職場で得る年収の方がはるかに大きい
  • 失業保険の受給期間中は、焦らず求職活動を続ける経済的な余裕がある

再就職手当はあくまで早く決めた人へのボーナスであって、就職の目的ではありません。
目先の手当のために条件の悪い会社を選んでしまえば、長い目で見て損をする可能性の方が高くなります。
自分のキャリアにとって何が最善かを軸に、手当は付随的なものと位置づけて考えることが大切です。

逆に再就職手当をもらった方が得になる人の特徴

ここまではもらわない方がいい人を見てきましたが、当然その逆もあります。
条件がそろっている人にとって、再就職手当は受け取らないと損とすら言える制度です。
自分が得になる側に当てはまるなら、迷わず申請を検討しましょう。

得になる人の特徴は、これまで説明してきた損に感じる条件のちょうど裏返しになっています。
以下の3つのタイプに当てはまる人は、積極的に受給を考える価値があります。

残日数を3分の2以上残して早く決まった人

失業保険の支給残日数を所定給付日数の3分の2以上残して就職が決まった人は、最も得をしやすいタイプです。
高い給付率70%が適用されるうえ、残日数も多いため、受け取れる金額が大きくなります。

得になる理由を整理すると、次のようになります。

残日数を多く残して早く決まった人が得な理由
  • 給付率70%が適用され、残日数の7割を一時金で受け取れる
  • 残日数が多いため、支給額そのものが大きくなる
  • 早く働き始めることで、手当に加えて給与収入も早期に得られる

このタイプは、手当と給与収入の両方を早くから得られるため、失業保険を満額もらうまで待つよりも総収入が上回りやすくなります。
早く決まったことを損だと感じる必要はまったくありません。
むしろ、早期就職の努力が金額として報われる、最も恵まれたパターンだと言えます。

前職と同等以上の給与で長く働ける人

再就職先の給与が前職と同等以上で、長く安定して働ける見込みがある人も、受給に向いています。
賃金が下がらないため、そもそも損をするという発想自体が当てはまりにくいからです。

このケースのメリットは、次のとおりです。

前職と同等以上で長く働ける人のメリット
  • 給与が下がらないので、早く働くほど生涯収入への上乗せが大きい
  • 1年超の安定雇用という受給要件を無理なく満たせる
  • 3年以内の再受給制限を気にする必要がほとんどない

前職以上の条件で長く働ける職場に決まったなら、再就職手当を受け取らない理由はほとんどありません。
手当は早期就職へのご褒美として、そのまま受け取っておくのが自然な選択です。
安定した職場と手当の両方を手に入れられる、理想的なパターンと言えるでしょう。

会社都合退職で給付日数が長い人

倒産や解雇などの会社都合で退職し、失業保険の給付日数がもともと長い人も、得をしやすいタイプです。
給付日数が長いほど残日数も多くなりやすく、手当の計算のベースが大きくなるためです。

会社都合退職が有利になる点は、次のとおりです。

会社都合退職が有利になる点
  • 給付日数が最大330日と長く、残日数を多く残しやすい
  • 給付制限がないため、待期期間の経過後すぐに就職しても対象になる
  • 就職の経路を問われず、自分で見つけた仕事でも受給できる

自己都合退職と違い、会社都合退職では給付制限期間中の就職経路の縛りがありません。
待期期間が経過した後であれば、どのような経路で就職しても再就職手当の対象になります。
給付日数の長さと相まって、条件が整いやすい恵まれた立場だと言えます。

手当だけで比べると損に見える落とし穴と正しい比べ方

再就職手当が損か得かを考えるとき、多くの人が陥る落とし穴があります。
それは、失業保険の満額と手当の額だけを単純に並べて比べてしまうことです。
この比べ方では、本当の損得は見えてきません。

正しく判断するには、手当だけでなく給与収入まで含めたトータルの収入で考える必要があります。
ここでは、よくある誤った比較と、正しい比べ方を順を追って解説します。

失業保険の満額と手当額を単純比較した場合

まず、多くの人がやってしまう単純比較を見てみましょう。
失業保険を残日数分すべて受け取った場合と、再就職手当の額だけを並べると、確かに手当の方が少なく見えます。

単純比較のイメージは、次のとおりです。

  • 失業保険を残日数分すべて受け取った場合:残日数×基本手当日額の満額
  • 再就職手当を受け取った場合:残日数×基本手当日額×60〜70%

数字の上では、手当の方が3割から4割少なくなります。
これだけを見れば、損をしたように感じるのも無理はありません。
しかし、この比較には決定的な見落としがあります。
失業保険を満額もらうには、その間ずっと無職でいなければならないという前提が抜けているのです。

給与収入まで含めたトータル収入で見た結果

正しい比べ方は、手当と給与収入を合わせたトータルの収入で考えることです。
早く就職すれば、その分だけ早く給与が入り始めます。
この給与収入を加えると、損得の見え方が逆転します。

トータル収入で見ると、次のような違いが生まれます。

  • 失業保険を満額待つ人:無職期間が長く、収入は失業保険のみ
  • 早く就職して手当を受ける人:手当に加え、早く始めた給与収入が積み上がる

たとえば残りの失業保険を待つ2〜3か月の間に働き始めれば、その期間の給与だけで手当の目減り分を上回ることも珍しくありません。
早く働くほう給与収入の総額は増えていきます。
再就職手当を含めるとトータルの受給額が失業保険を上回るケースは少なくないため、手当額だけで損得を判断するのは早計だと言えます。

就業促進定着手当を足した2段階受給の考え方

さらに知っておきたいのが、再就職手当に加えて受け取れる可能性がある就業促進定着手当の存在です。
この2つを組み合わせて考えると、受け取れる総額はさらに大きくなります。

2段階受給の流れは、次のとおりです。

  • 第1段階:早期就職で再就職手当を受け取る
  • 第2段階:再就職先で6か月以上働き、賃金が前職より下がっていれば就業促進定着手当を受け取る

就業促進定着手当は、再就職手当を受給した人が再就職先で6か月以上勤務し、その間の賃金が離職前より低下していた場合に支給される手当です。
再就職手当の受給が前提となっており、単独では申請できません。
賃金が下がる転職では、この2段階の受給を設計することで、受け取る総額を増やせる可能性があります。
ただし後述するように、2025年の改正でこの定着手当の上限は引き下げられている点に注意が必要です。

再就職手当はいくらもらえる?計算方法とシミュレーション

損得を判断するうえで、自分がいくら受け取れるのかを把握しておくことは欠かせません。
ここでは、再就職手当の計算方法と、具体的な金額の目安を解説します。
計算式さえ理解すれば、自分のケースでおおよその金額を試算できます。

計算に必要なのは、基本手当日額、支給残日数、給付率の3つです。
それぞれの意味と決まり方を押さえていきましょう。

計算式と支給率の決まり方

再就職手当の金額は、シンプルな一つの式で求められます。
この式に自分の数字を当てはめれば、おおよその支給額がわかります。

計算式と支給率の決まり方は、次のとおりです。

  • 計算式:再就職手当=基本手当日額×支給残日数×給付率
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:給付率70%
  • 支給残日数が3分の1以上3分の2未満:給付率60%

基本手当日額は、失業保険の1日あたりの支給額のことで、雇用保険受給資格者証に記載されています。
支給残日数は、就職日の前日時点で残っている失業保険の日数です。
この3つの数字がそろえば、あとは掛け算するだけで金額が算出できます。

基本手当日額の上限に注意

計算するうえで注意したいのが、再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限が設けられている点です。
どれだけ前職の給与が高くても、この上限を超えて計算されることはありません。

再就職手当の算定に用いる基本手当日額の上限額は、次のとおりです(2025年8月1日改定、2026年7月31日まで適用)。

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離職時の年齢基本手当日額の上限額
59歳以下6,570円
60歳以上65歳未満5,310円

この上限額は失業保険そのものの基本手当日額の上限とは別に設定されており、就業促進手当用の基準です。
前職の月収が高かった人は、実際の基本手当日額ではなくこの上限額で計算されることになります。
上限額は毎年8月1日に改定される場合があるため、最新の額は厚生労働省の発表で確認しておくと安心です。

参考:厚生労働省「令和7年8月1日からの基本手当日額等の適用について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00048.html

残日数・日額別の受給額の目安

実際にどれくらいの金額になるのか、いくつかのパターンで目安を見てみましょう。
基本手当日額と残日数の組み合わせによって、支給額は大きく変わります。

基本手当日額別・残日数別の受給額の目安は、次のとおりです。

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基本手当日額残日数60日
(給付率60%)
残日数120日
(給付率70%)
4,000円約14万4千円約33万6千円
5,500円約19万8千円約46万2千円
6,570円
(上限)
約23万7千円約55万2千円

この表からわかるように、残日数が多く、給付率が70%になるケースほど支給額は大きくなります。
基本手当日額が上限に近く、残日数も多い人であれば、50万円を超える金額を受け取れる可能性があります。
あくまで概算のため、正確な金額はハローワークで確認してください。

2025年4月の法改正で変わった再就職手当の位置づけ

再就職手当を考えるうえで、2025年4月に施行された雇用保険法の改正は避けて通れません。
この改正により、再就職手当を取り巻く周辺制度が変わり、損得の判断にも影響が出ています。
最新の制度を前提に考えないと、古い情報のまま誤った判断をしてしまう恐れがあります。

改正の柱は2つあります。
就業手当の廃止と、就業促進定着手当の上限引き下げです。
再就職手当そのものの計算方法は変わっていませんが、周辺制度の変化が全体の判断を左右します。

就業手当の廃止で「つなぎ就業」が使えなくなった影響

一つ目の大きな変化が、就業手当の廃止です。
就業手当は、失業保険の受給資格がある人が、雇用保険に加入しないような短期の仕事に就いた場合に支給されていた手当でした。

改正による変化は、次のとおりです。

  • 就業手当は2025年3月31日をもって廃止された
  • 2025年4月1日以降に支給要件を満たしても支給されない
  • 短期就業でつなぎながら正社員を探すという選択肢の経済的な支えがなくなった

これまでは、正社員を探しながら短期のアルバイトで収入を補い、就業手当を受け取るという使い方ができました。
その結果、安定した職に早く就いて再就職手当を受け取る道が、実質的に早期再就職の主な選択肢という位置づけになりました。
つなぎ就業を前提にしていた人は、戦略の見直しが必要になっています。

就業促進定着手当の上限引き下げと賃金低下リスク

二つ目の変化が、就業促進定着手当の上限引き下げです。
これは、賃金が下がる転職をする人にとって特に影響の大きい改正です。

改正前後の違いを表で比べてみましょう。

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項目改正前改正後
(2025年4月1日以降)
上限の計算割合給付率に応じて30%または40%一律20%
補填の効果賃金低下分をほぼ補える構造補填効果が縮小

改正前は、再就職手当の給付率が70%なら定着手当の上限は30%、60%なら40%とされ、両者を合わせると最大100%に達する構造でした。
改正後は、給付率にかかわらず定着手当の上限が一律20%に引き下げられています。
これにより、賃金が大きく下がる転職では、以前ほど定着手当で補填できなくなりました。
賃金低下を伴う転職を考えている人は、この点を計算に入れておく必要があります。

再就職手当がもらえないケースと受給条件の確認ポイント

得か損か以前に、そもそも再就職手当を受け取れないケースもあります。
申請してから対象外だとわかると手間が無駄になるため、事前に条件を確認しておくことが重要です。
ここでは、もらえない代表的なケースを整理します。

再就職手当には8つの受給要件があり、そのすべてを満たす必要があります。
一つでも欠けると支給されないため、自分が該当しないか一つずつ確認していきましょう。

残日数が3分の1未満になっている

最も基本的な要件が、就職日の前日時点で支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていることです。
これを下回ると、他の条件を満たしていても再就職手当は支給されません。

残日数に関する注意点は、次のとおりです。

  • 就職が遅くなり残日数が3分の1未満になると対象外になる
  • 残日数は就職日の前日までの失業認定を受けた時点で計算される
  • 早く就職を決めるほど残日数が多く、給付率も高くなる

失業保険をある程度受け取ってから就職しようと考えていると、気づかないうちに残日数が3分の1を切ってしまうことがあります。
再就職手当を受け取りたいなら、残日数に余裕があるうちに就職を決めることが前提になります。
このタイミングを逃すと、手当そのものを受け取れなくなる点に注意してください。

給付制限中に紹介以外の経路で就職した

自己都合退職で給付制限がある人は、就職の経路にも条件がある点に注意が必要です。
給付制限期間の最初の1か月間は、就職の経路が限定されます。

この経路の条件は、次のとおりです。

  • 給付制限の最初の1か月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職に限られる
  • 転職エージェント経由の就職はこの職業紹介事業者に含まれる
  • 転職サイトからの直接応募や知人の紹介は、最初の1か月間は対象外

自己都合退職の場合、給付制限期間の最初の1か月間は、ハローワークや厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者の紹介で就職する必要があります。
この1か月を過ぎれば、就職の経路は問われなくなります。
自分で求人サイトから応募して早く決めたい人は、この期間の縛りを意識しておく必要があります。

受給資格の決定前にすでに内定していた

失業保険の受給資格が決まる前から内定が出ていた会社に就職した場合も、再就職手当の対象外になります。
これは、早期就職を後押しするという制度の趣旨に照らした要件です。

このケースで押さえておくべき点は、次のとおりです。

  • ハローワークで求職申し込みをする前から採用が内定していた場合は対象外
  • 受給資格決定後に求職活動をして決まった就職であることが必要
  • 退職前にすでに次が決まっていた場合は該当しやすい

再就職手当は、失業状態になってから求職活動をして早く就職を決めた人を対象とする制度です。
そのため、求職申し込みより前に内定していた就職先は、たとえ早期であっても対象になりません。
退職前から次が決まっていた人は、この要件に引っかかる可能性が高いことを知っておきましょう。

過去3年以内の受給・関連会社への就職など

これまでに触れたもの以外にも、いくつかの受給対象外のケースがあります。
細かい要件ですが、いずれも該当すると支給されないため確認が必要です。

その他の主な対象外ケースは、次のとおりです。

  • 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給している
  • 離職前の事業主やその関連会社に再び雇用された
  • 待期期間の7日間が満了する前に就職した
  • 再就職先で雇用保険の被保険者になっていない

離職前と密接な関係にある会社への就職は、実質的に元の職場に戻るのと変わらないとみなされ、対象外になります。
また、待期期間中の就職や、雇用保険に加入しない働き方も要件を満たしません。
自分のケースがこれらに該当しないか、申請前にハローワークで確認しておくと安心です。

再就職手当をもらうか迷ったときの判断チェックリスト

ここまでの内容を踏まえて、最終的に自分がもらうべきかどうかを判断するためのチェックリストを用意しました。
損得の目安と、経済状況の両面から見極めることで、後悔のない選択ができます。
迷ったときは、この2つの視点に立ち返ってみてください。

判断は、就職先の条件だけでなく、いまの自分の生活状況も含めて総合的に行うことが大切です。
どちらか一方だけで決めず、両方をあわせて考えましょう。

残日数と就職先の安定性で見極める

まず確認したいのが、支給残日数と就職先の安定性という制度面の条件です。
この2つがそろっているほど、受給のメリットは大きくなります。

制度面のチェックポイントは、次のとおりです。

制度面のチェックポイント

これらの多くにあてはまるなら、受給に向いていると判断できます。
逆に、残日数がぎりぎりで、しかも早期離職の可能性が高いなら、慎重に考えた方がよいでしょう。
制度面の条件は、得か損かを分ける最も基本的な物差しになります。

貯金・生活費など経済状況で見極める

もう一つの視点が、いまの自分の経済状況です。
手元にどれだけ余裕があるかによって、最適な選択は変わってきます。

経済面のチェックポイントは、次のとおりです。

経済面のチェックポイント

貯金に余裕がなく、早く安定した収入がほしいなら、条件の合う職場に早く就いて手当も受け取る方が合理的です。
一方、生活費に余裕があり、時間をかけて理想の職場を探したいなら、手当に引きずられず慎重に選ぶ道もあります。
自分の家計の状況を正直に見つめたうえで、制度面の条件とあわせて総合的に判断しましょう。

再就職手当の申請の流れと見落としがちな期限

受給すると決めたら、次は申請の手続きです。
再就職手当は自動的に振り込まれるものではなく、自分で申請する必要があります。
手続きの流れと期限を把握しておかないと、せっかくの受給資格を逃してしまうこともあります。

特に注意したいのが申請期限です。
期限を過ぎると原則として受給できなくなるため、就職が決まったら早めに動くことが肝心です。

就職が決まってから受給までのステップ

再就職手当を受け取るまでには、いくつかのステップがあります。
全体の流れをつかんでおけば、慌てずに手続きを進められます。

就職決定から受給までの流れは、次のとおりです。

就職決定から受給までの5ステップ
  • 内定が出たら、就職日の前日までにハローワークへ就職の届出をする
  • 再就職先に採用証明書を記入してもらう
  • 就職日の翌日から1か月以内に再就職手当支給申請書を提出する
  • ハローワークが支給要件を審査する(通常1〜2か月程度)
  • 支給決定通知が届き、指定口座に振り込まれる

まず内定が出た段階で、入社日の前日までにハローワークへ届け出るのが最初のステップです。
その後、再就職先に協力してもらって書類を整え、期限内に申請します。
審査を経て支給が決まると、指定した口座に手当が振り込まれる流れです。

必要書類と申請期限のポイント

申請でつまずきやすいのが、必要書類の準備と期限の管理です。
書類に不備があると審査が遅れるため、事前にそろえておきましょう。

主な必要書類と期限のポイントは、次のとおりです。

  • 再就職手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証
  • 採用証明書(再就職先の事業主に記入・押印してもらう)
  • 申請期限は就職日の翌日から原則1か月以内

採用証明書は再就職先の人事や総務の担当者に記入してもらう必要があるため、早めに依頼しておくのがコツです。
申請期限は就職日の翌日から原則1か月以内で、この期限を過ぎると受給できなくなる可能性があります。
やむを得ない理由がある場合は2年以内の時効の範囲で認められることもありますが、原則は1か月以内と考えて、就職したら最優先で手続きを進めましょう。

再就職手当をもらわない方がいいのか?に関するよくある質問

最後に、再就職手当について特に多く寄せられる疑問に答えていきます。
これまでの内容の総まとめとして、要点を簡潔に確認しておきましょう。
自分の疑問に近いものがあれば、判断の参考にしてください。

細かな条件は個々のケースで異なるため、最終的な確認はハローワークで行うのが確実です。
ここでは一般的な考え方を示します。

もらわず働くと損になりますか?

多くの場合、受給要件を満たしているなら、もらわずに働くと損になります。
再就職手当は非課税で、受け取った額がそのまま手元に残るお金だからです。

損得を考えるときのポイントは、次のとおりです。

  • 手当は非課税で、所得税も住民税もかからない
  • 要件を満たしているのに申請しないと、受け取れたはずのお金を逃す
  • 早く働くほど給与収入も早く得られ、トータルでプラスになりやすい

受給要件を満たしているのに手当を申請しないのは、もらえるお金をあえて受け取らないのと同じです。
特別な理由がない限り、条件を満たすなら申請するのが基本的に得策と言えます。

受け取った後すぐ辞めたら返金は必要ですか?

再就職手当を受け取った後に離職した場合でも、原則として受け取った手当の返金は必要ありません。
ただし、状況によっては次の失業保険の扱いに影響します。

このケースで押さえておくべき点は、次のとおりです。

  • 支給要件を満たして正当に受け取った手当は、その後離職しても返還は求められない
  • ただし虚偽の申告などによる不正受給の場合は返還の対象になる
  • 離職後に失業状態になった場合、手当分を除いた残日数を受給できる可能性がある

再就職手当を受けた後に離職して失業状態になったときは、手当分を除いた残りの日数分を受給できる場合があるため、まずはハローワークに相談するとよいでしょう。
なお、事実と異なる申告をして受給した場合は不正受給となり、返還に加えてペナルティが科されることがあります。

失業保険をもらわずに手当だけ受け取れますか?

再就職手当は、失業保険(基本手当)の受給資格があることが前提の制度です。
そのため、失業保険の受給資格がまったくない状態で手当だけを受け取ることはできません。

この点について整理すると、次のようになります。

  • 再就職手当は失業保険の受給資格者が対象で、資格が前提になる
  • 失業保険を1円も受け取っていなくても、受給資格があり残日数が3分の1以上あれば対象になりうる
  • 求職申し込みや待期期間の経過など、基本的な手続きは必要

失業保険を実際に受け取っていなくても、受給資格を得たうえで残日数を多く残して早く就職すれば、給付率70%で再就職手当を受け取れます。
むしろ、失業保険をほとんど受け取らずに早く決めた人ほど、手当の額が大きくなる仕組みです。
ただし、あくまで受給資格を得るための手続きは踏んでおく必要があります。

いつ振り込まれますか?申請から何日かかりますか?

再就職手当が振り込まれるまでには、申請してから一定の審査期間がかかります。
申請すればすぐに入金されるわけではない点に注意が必要です。

振り込みまでの目安は、次のとおりです。

  • 申請後、ハローワークによる支給要件の審査に通常1〜2か月程度かかる
  • 審査を通過すると支給決定通知が届く
  • その後、指定した口座に手当が振り込まれる

申請から実際の入金までは、おおむね1か月から2か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
書類に不備があるとさらに時間がかかるため、提出前に記入漏れや押印漏れがないか確認しておくことが大切です。
入金の正確な時期を知りたい場合は、申請したハローワークに問い合わせると確実です。

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