- 退職給付金は「会社から出るお金」と「国から出るお金」の2つに分かれる
- 退職金・企業年金・失業保険・傷病手当金など、給付ごとに条件と申請先が違う
- 退職金がない会社でも、国からの給付は受け取れる可能性がある
- 失業保険の条件・金額・支給開始タイミング・受給日数の見方
- 申請から受け取りまでの流れと、受け取るときの注意点
会社を辞めるとき、多くの人が気にするのが「辞めたあと、どんなお金がもらえるのか」という点です。退職給付金という言葉は聞いたことがあっても、具体的に何を指すのかはっきり分からないという人は少なくありません。
実は退職給付金とひとことで言っても、その中身は会社から出るお金と国から出るお金に分かれており、種類も条件もそれぞれ違います。この記事では、退職後に受け取れるお金の全体像を、初めての人でも迷わないようにやさしく整理していきます。
自分がどの給付をもらえるのか、いつ・どこで手続きすればいいのかまで、順番に確認していきましょう。
- 退職給付金でもらえるお金は大きく2つに分かれる
- 退職給付金の主な種類を一覧でチェック
- 失業保険(退職給付金の中心)をもらう条件
- 退職給付金の申請から受け取りまでの流れ
- 退職給付金を受け取るときの注意点
退職給付金でもらえるお金は大きく2つに分かれる
退職給付金と呼ばれるお金は、出どころによって性格がまったく異なります。まずは全体像をつかむために、大きな2つの区分を頭に入れておくと、その後の話がぐっと理解しやすくなります。
整理すると、退職後に受け取れるお金には次のような区分があります。
- 会社から出るお金は、退職金や企業年金など、勤めていた会社の制度にもとづいて支払われるものです
- 国から出るお金は、失業保険(雇用保険の基本手当)など、公的な保険制度から支払われるものです
- この2つは申請先も条件もまったく別で、片方だけ受け取る人もいれば、両方受け取れる人もいます
どちらか一方しかない、と思い込んでしまうと、もらえるはずのお金を取りこぼしてしまうことがあります。まずは「会社から」と「国から」の2本立てなのだと覚えておきましょう。
「退職給付金」は退職後にもらえるお金の総称
退職給付金は、法律で決まった正式な制度名ではありません。退職にともなって受け取れるさまざまなお金を、まとめて呼ぶための総称として使われている言葉です。そのため、人によって思い浮かべるものが違うこともあります。
退職給付金という言葉が指す範囲を整理すると、次のようになります。
- 退職金や企業年金のように、会社の制度から支払われるもの
- 失業保険や再就職手当のように、雇用保険から支払われるもの
- 傷病手当金のように、健康保険から支払われるもの
つまり、退職給付金という大きな傘の下に、いくつもの具体的な制度が並んでいるイメージです。広告やサービスでこの言葉を見かけたときは、それが具体的にどの制度を指しているのかを確認する習慣をつけると、誤解を防げます。
会社から出るお金と国からもらえるお金がある
会社から出るお金と国からもらえるお金は、支払いのしくみそのものが違います。会社から出るお金は、あくまでその会社が独自に設けた制度によるものです。一方で国からもらえるお金は、働いている間に納めていた保険料が原資になっています。
両者の違いを表で比べると、次のようになります。
| 区分 | 主なお金 | 原資 | もらえるかどうか |
|---|---|---|---|
| 会社から出るお金 | 退職金、企業年金 | 会社の制度 | 制度がある会社のみ |
| 国からもらえるお金 | 失業保険、傷病手当金 | 雇用保険・健康保険の保険料 | 条件を満たせば誰でも |
ここで注意したいのは、退職金は法律上の義務ではないという点です。退職金制度がない会社も一定数あるため、会社から出るお金は勤め先によって有無が大きく分かれます。これに対して国からのお金は、保険の加入条件と受給条件を満たしていれば、勤め先に関係なく受け取れる可能性があります。
退職金と退職給付金は何が違う?
退職金と退職給付金は似た言葉ですが、指し示す範囲が異なります。退職金は、あくまで会社から支払われる一時金や年金のことを指します。これに対して退職給付金は、退職金も含めた、退職後に受け取れるお金全体を指す広い言葉です。
両者の関係を整理すると、次のように理解できます。
- 退職金は退職給付金の一部であり、会社から出るお金に限られる
- 退職給付金には、退職金に加えて国からの失業保険なども含まれる
- 「退職金がない=もらえるお金がゼロ」ではなく、国からの給付は別に受け取れる可能性がある
言い換えると、退職金は退職給付金という大きな輪の中にある小さな輪のような関係です。退職金がない会社に勤めていた人でも、失業保険などの国の給付は対象になり得るため、この違いを正しく押さえておくことが大切です。
退職給付金の主な種類を一覧でチェック
退職給付金にはさまざまな種類がありますが、大きく3つの出どころに分けて整理すると全体像がつかみやすくなります。会社から出るもの、雇用保険から出るもの、健康保険から出るものの3系統です。
主な給付を出どころ別に一覧にすると、次のようになります。
| 出どころ | 主な給付 | 特徴 |
|---|---|---|
| 会社 | 退職一時金、企業年金(DB・DC)、中退共 | 会社の制度により有無が異なる |
| 雇用保険 | 基本手当(失業保険)、再就職手当、傷病手当、高年齢求職者給付金 | 加入と離職の条件を満たせば対象 |
| 健康保険 | 傷病手当金 | 在職中の病気やケガで働けない期間が対象 |
この一覧を見ると、退職給付金がいかに幅広い制度の集まりであるかが分かります。自分がどの系統に当てはまるかを意識しながら、次の各項目を確認していきましょう。
会社から支給される給付(退職一時金・企業年金)
会社から支給される給付は、主に退職一時金と企業年金の2つに分かれます。退職一時金は退職時にまとめて受け取る方式で、企業年金は分割して受け取る方式です。どちらの制度があるか、あるいは両方あるかは、会社の退職金規程によって決まります。
会社からの給付を整理すると、次のようになります。
- 退職一時金は、退職のタイミングで一括して支払われるお金
- 企業年金は、退職後に一定期間または生涯にわたって分割で受け取るお金
- どちらもない会社もあり、その場合は就業規則や退職金規程で確認する必要がある
民間企業の退職金は法律で義務づけられておらず、制度の有無や金額は各社の規程で決まります。厚生労働省の調査でも、退職給付制度がない企業が一定割合あることが示されています。まずは自分の会社に制度があるかどうかを、退職金規程で確かめることが出発点です。
雇用保険から受け取れる給付
雇用保険から受け取れる給付は、退職給付金の中でも中心的な存在です。代表的なのが失業保険(基本手当)ですが、それ以外にも状況に応じたさまざまな給付があります。
雇用保険から受け取れる主な給付には、次のものがあります。
- 基本手当(失業保険)は、離職後に求職活動をしている間の生活を支える給付
- 再就職手当は、早く再就職が決まった人に支払われる給付
- 傷病手当は、求職の手続き後に病気やケガで働けなくなったときの給付
- 高年齢求職者給付金は、65歳以上で離職した人が対象の一時金
失業手当もこの求職者給付に含まれ、雇用保険のなかで最も広く知られた給付です。
※ 出典:MoneyForward
これらは同じ雇用保険から出るお金ですが、条件や金額の決まり方はそれぞれ異なります。自分の年齢や退職後の状況に合わせて、どれが対象になるかを確認していきましょう。
健康保険から受け取れる給付
健康保険から受け取れる代表的な給付が、傷病手当金です。これは在職中に病気やケガで働けなくなり、給与が受けられないときに支給されるものです。雇用保険の「傷病手当」とは名前が似ていますが、まったく別の制度なので混同しないよう注意が必要です。
健康保険の傷病手当金について整理すると、次のようになります。
- 業務外の病気やケガで働けず、給与が支払われない期間が対象
- 連続して3日間休んだあと、4日目以降の休業に対して支給される
- 一定の条件を満たせば、退職後も継続して受け取れる場合がある
同じ「しょうびょうてあて」でも、雇用保険のものは求職の手続き後に働けなくなった人向け、健康保険のものは在職中に働けなくなった人向けという違いがあります。どちらの制度を使うべきかは、いつ・どんな理由で働けなくなったかによって変わります。
自分がどれをもらえるか確認するポイント
たくさんの給付があるなかで、自分が何を受け取れるのかを見極めるには、いくつかの確認ポイントがあります。やみくもに調べるのではなく、順番にチェックしていくと迷いにくくなります。
自分の対象を確認するときのポイントは、次のとおりです。
- 勤め先に退職金や企業年金の制度があるか、退職金規程で確認する
- 雇用保険に加入していたか、給与明細で雇用保険料が引かれていたか確認する
- 離職理由が自己都合か会社都合かを、離職票で確認する
- 退職時の年齢と、雇用保険に加入していた期間の長さを確認する
在職中に確認したい場合は、会社の担当者に聞くか、給与明細から雇用保険料が天引きされているかを見る方法があります。これらの情報がそろえば、自分がどの給付の対象になりそうかが見えてきます。判断に迷うときは、離職票を持ってハローワークで相談するのが確実です。
会社からもらえる退職給付金のしくみ
会社からもらえる退職給付金には、受け取り方や税金の面でいくつかの特徴があります。一括で受け取るのか分割で受け取るのかによって、税金の扱いも変わってきます。ここでは、会社からのお金のしくみを4つの角度から整理していきます。
会社からの給付の主な形は、次のとおりです。
- 一括で受け取る退職一時金
- 分割で受け取る企業年金(DB・DC)
- 中小企業向けの退職金共済(中退共)
- 受け取ったお金にかかる税金と控除
それぞれ性格が違うため、自分の会社がどの方式かを踏まえて読み進めてください。
一括で受け取る退職一時金
退職一時金は、退職時にまとめて支払われるお金です。多くの人が「退職金」と聞いてイメージするのが、この一括受け取りの形でしょう。金額は会社の退職金規程で決まり、勤続年数や退職理由などによって変わります。
退職一時金の特徴を整理すると、次のようになります。
- 退職のタイミングで一度にまとまった金額を受け取れる
- 金額は基本給や勤続年数、支給率などをもとに計算されることが多い
- 税制上は「退職所得」として扱われ、後述する控除により税負担が軽くなる
一括で受け取るメリットは、まとまった資金を退職直後に手にできる点です。一方で、使いすぎに注意しながら計画的に管理していく必要もあります。金額の目安を知りたい場合は、まず会社の退職金規程を確認することが第一歩です。
分割で受け取る企業年金(DB・DC)
企業年金は、退職金を分割して受け取るしくみで、主にDB(確定給付企業年金)とDC(確定拠出年金)があります。DBは将来受け取る金額があらかじめ決まっているタイプです。DCは掛金を運用し、その運用成績によって受取額が変わるタイプです。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
- DB(確定給付企業年金)は、将来もらえる給付額が制度で約束されている
- DC(確定拠出年金)は、掛金の運用結果によって将来の受取額が変動する
- どちらも一時金として一括で受け取るか、年金として分割で受け取るかを選べる場合がある
DCには会社が掛金を出す企業型と、個人が加入するiDeCo(個人型)があります。受け取り方によって税金の扱いが変わるため、一時金か年金かの選択は慎重に検討する価値があります。自分の会社がどのタイプの企業年金を採用しているかは、人事や労務の担当部署に確認しましょう。
中小企業向けの退職金共済(中退共)
中小企業のなかには、自社だけで退職金制度を持つ代わりに、中退共(中小企業退職金共済制度)を利用しているところがあります。これは国がつくった、中小企業のための退職金のしくみです。会社が毎月掛金を納め、従業員が退職したときに機構から退職金が支払われます。
中退共の特徴を整理すると、次のようになります。
- 会社が掛金を積み立て、退職時に共済機構から従業員へ直接支払われる
- 中小企業でも退職金制度を設けやすくするための国の制度
- 退職金は原則として、会社ではなく機構から本人の口座へ振り込まれる
中退共の場合、退職金の請求手続きは共済機構に対して行うことになります。自分の会社が中退共に加入しているかどうかは、退職金規程や会社の担当者への確認で分かります。会社から直接ではなく機構から支払われる点が、通常の退職一時金との大きな違いです。
退職金にかかる税金と控除のしくみ
退職金には税金がかかりますが、給与などと比べて大きく優遇されています。その中心となるのが退職所得控除というしくみです。退職所得控除額以下の退職金には税金がかかりません。
※ 出典:Ayusawa-partners
退職所得控除額は、勤続年数に応じて次のように計算します。
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算式 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
たとえば勤続20年の場合は800万円まで、勤続30年の場合は1,500万円まで非課税です。
※ 出典:Ayusawa-partners
さらに、控除しきれない分についても、その半分だけを課税対象とする「1/2課税」というしくみがあります。なお勤続年数に1年未満の端数があるときは、その端数を1年に切り上げて計算します。
会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておけば、原則として自分で確定申告をする必要はありません。くわしい計算方法は、国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm)で確認できます。
国からもらえる退職給付金の種類と条件
国からもらえる退職給付金は、雇用保険や労働にかかわる制度から支払われます。退職金がない会社に勤めていた人でも、これらの給付は条件を満たせば対象になります。ここでは、代表的な6つの給付について、それぞれの条件を整理していきます。
国からもらえる主な給付は、次のとおりです。
- 失業保険(雇用保険の基本手当)
- 早く再就職するともらえる再就職手当
- 病気やケガで働けないときの傷病手当
- 65歳以上が対象の高年齢求職者給付金
- 会社が倒産したときの未払賃金立替払制度
- 職業訓練を受けながら受け取れる給付
自分の状況に近いものから読み進めると、理解しやすいでしょう。
失業保険(雇用保険の基本手当)
失業保険は、正式には雇用保険の基本手当と呼ばれ、国からもらえる退職給付金の中心です。離職後に働く意思と能力があるのに就職できない間、生活を支えるために支給されます。受給には、雇用保険の加入期間などの条件を満たす必要があります。
基本手当の主な受給要件は、次のとおりです。
- 積極的に就職しようとする意思があること
- いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
- 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと
加えて、原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。ただし倒産・解雇等の理由により離職した場合などは、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あれば受給できます。
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
くわしい要件は、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html)で確認できます。
早く再就職するともらえる再就職手当
再就職手当は、基本手当をもらっている人が早く再就職を決めたときに受け取れる給付です。失業期間が長引く前に就職すると、いわば「お祝い金」のような形で支給されます。早期の再就職を後押しするための制度です。
再就職手当の主な要件には、次のものがあります。
- 基本手当の支給の残り日数が、給付期間の3分の1以上あること
- 確実に1年以上勤務すると見込まれること
- 再就職先が離職前の事業所と密接な関係がないこと
- 求職申込時にすでに内定していた職場での再就職ではないこと
※ 出典:MoneyForward
つまり、基本手当を早めに受給し終える前に再就職すれば、残った日数に応じたお金を受け取れるしくみです。失業保険をぎりぎりまで受け取ることにこだわると、かえって損をする場合もあります。早く決まりそうなときは、再就職手当の対象になるかをハローワークで確認しておくとよいでしょう。
病気やケガで働けないときの傷病手当
雇用保険の傷病手当は、ハローワークで求職の手続きをしたあとに病気やケガで働けなくなったときの給付です。働けない間は基本手当を受け取れないため、その代わりに支給されるものです。健康保険の傷病手当金とは別の制度である点に注意が必要です。
雇用保険の傷病手当のしくみを整理すると、次のようになります。
- 求職の手続きをした後に、けがや病気で働けなくなった場合に支給される
- 15日以上働けない場合は基本手当を受給できないため、その代わりに支給される
- 求職の手続き前から働けない状態の場合は、受給期間の延長制度を利用する
※ 出典:MoneyForward
名前が似ている健康保険の傷病手当金は、在職中に働けなくなった人向けの制度です。一方、雇用保険の傷病手当は、離職して求職活動を始めたあとに働けなくなった人向けという違いがあります。どちらに当てはまるかで手続き先が変わるため、混同しないようにしましょう。
65歳以上が対象の高年齢求職者給付金
65歳以上で離職した人は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金の対象になります。これは基本手当のように長期間もらうものではなく、一時金として一度にまとめて支払われます。対象となるのは、65歳以上の高年齢被保険者だった人です。
高年齢求職者給付金の要件を整理すると、次のようになります。
- 算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上あること
- 労働の意志及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること
- ハローワークで求職の申し込みを行い、高年齢受給資格の決定を受けること
※ 出典:Hello Work
厚生労働省の資料でも、65歳以上で退職した場合は基本手当は受け取れず、一定の要件を満たした方に高年齢求職者給付金という一時金が支給されると説明されています。65歳を境に受け取れる給付の種類が変わるため、年齢を確認しておくことが大切です。
※ 出典:東京都(Tokyo)
会社が倒産したときの未払賃金立替払制度
勤めていた会社が倒産し、給料が支払われないまま退職した場合には、未払賃金立替払制度が使えます。これは国が会社に代わって、未払いの賃金の一部を立て替えて支払う制度です。独立行政法人労働者健康安全機構が運営しています。
制度の要点を整理すると、次のようになります。
- 立替払される金額は未払賃金の8割
- 退職日時点の年齢によって上限があり、30歳未満は88万円、30〜45歳は176万円、45歳以上は296万円
- 正社員やパートタイマーなど雇用形態は問わない
※ 出典:Tsr-net
対象となるのは、倒産日の6カ月前から2年後までに退職し、未払賃金が残っている労働者です。ただし、いわゆるボーナスは立替払の対象とはならず、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象外となります。
※ 出典:Tsr-net/MHLW Japan
くわしくは、厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要と実績」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shinsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html)で確認できます。
職業訓練を受けながら受け取れる給付
再就職に向けてスキルを身につけたい人は、職業訓練を受けながら給付を受け取れる場合があります。ハローワークの職業相談のなかで、訓練の受講が必要と認められると、受講が指示されることがあります。この場合、訓練期間中の生活を支える形で給付が続きます。
職業訓練にともなう給付のしくみを整理すると、次のようになります。
- 訓練の受講が必要と認められ受講が指示された場合、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給される
- 訓練受講に要する費用として「受講手当」「通所手当」などが支給される
- 訓練を受けることで、所定給付日数を超えても手当が続く場合がある
※ 出典:Hello Work
つまり、訓練を受けながらであれば、通常の給付日数が終わっても支援が延びる可能性があります。スキルアップと生活の安定を同時に図れる点が、この制度の大きな利点です。訓練の対象になるかどうかは、ハローワークの窓口で相談してみましょう。
失業保険(退職給付金の中心)をもらう条件
失業保険は退職給付金の中でも利用する人が多く、条件をしっかり理解しておくことが特に重要です。受給できる人の要件、もらえる金額、支給が始まるタイミング、受給できる日数の4点を押さえておきましょう。これらは退職理由や年齢、勤続年数によって変わってきます。
失業保険で確認すべき主なポイントは、次のとおりです。
- 受給できる人の要件
- 1日あたりにもらえる金額の目安
- 退職理由で変わる支給開始のタイミング
- 年齢や勤続年数で変わる受給日数
一つずつ具体的に見ていきましょう。
受給できる人の要件
失業保険を受給するには、大きく分けて2つの要件を満たす必要があります。失業の状態にあることと、雇用保険に一定期間加入していたことです。このどちらか一方でも欠けると、原則として受給できません。
受給できる人の要件を整理すると、次のようになります。
- 働く意思と能力があるのに就職できていない「失業の状態」にあること
- 原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上あること
- 倒産・解雇等による離職の場合は、離職前1年間に被保険者期間が6か月以上あること
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
ここでいう被保険者期間の「1か月」には数え方のルールがあります。賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月、または労働時間数が80時間以上ある月を1か月と計算します。単純に在籍した月数ではない点に注意しておきましょう。
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
1日あたりにもらえる金額の目安
失業保険で1日あたりに受け取れる金額を、基本手当日額といいます。これは離職前にもらっていた給与をもとに計算されます。給与が高かった人ほど金額も大きくなりますが、上限も設けられています。
基本手当日額の計算のしくみは、次のとおりです。
- 1日あたりの基本手当日額は、離職前6か月間に支払われた賃金(賞与除く)の合計額を180で割った額のおよそ45%〜80%
- 給付率は賃金が低い人ほど高くなるように設計されている
- 年齢ごとに上限額が定められている
※ 出典:東京都(Tokyo)
たとえば、離職前の給与が低かった人ほど、賃金に対する給付の割合は高くなります。これは、生活への影響が大きい人ほど手厚く支えるという考え方によるものです。自分のおおよその金額を知りたい場合は、離職前6か月の給与明細をもとに計算してみるとイメージがつかめます。
退職理由で変わる支給開始のタイミング
失業保険がいつから支給されるかは、退職理由によって大きく変わります。会社都合で退職した人と、自己都合で退職した人では、支給開始までの待ち時間が異なります。ここは知らないと損をしやすいポイントです。
支給開始のタイミングを整理すると、次のようになります。
- どの理由でも、まず7日間の「待期期間」がある
- 会社都合など特定受給資格者は、待期期間のあと比較的早く支給が始まる
- 自己都合退職では、待期期間に加えて「給付制限期間」が設けられる
この給付制限期間について、2025年4月から重要な変更がありました。厚生労働省の資料によると、給付制限は、退職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月です。つまり、自己都合退職者が失業保険を受け取り始めるまでの待ち時間が、以前より短くなっています。
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
年齢や勤続年数で変わる受給日数
失業保険を受け取れる日数を、所定給付日数といいます。この日数は一律ではなく、いくつかの条件によって決まります。同じ失業でも、状況によって受給できる期間が大きく変わります。
所定給付日数を決める主な要素は、次のとおりです。
- 離職理由(自己都合か、会社都合などの特定受給資格者か)
- 雇用保険に加入していた被保険者期間の長さ
- 離職時の年齢
会社都合など特定受給資格者の場合、年齢や被保険者期間によって、最大330日まで給付日数が延びます。一方、自己都合退職の場合は年齢に関係なく、被保険者期間の長さによって日数が決まる傾向があります。なお受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間である点にも注意が必要です。
※ 出典:Maki-sharoushi
退職給付金の申請から受け取りまでの流れ
失業保険を実際に受け取るには、いくつかの手続きを順番に進める必要があります。会社から書類を受け取り、ハローワークで手続きをして、認定を経て支給という流れです。ここでは、退職後にやるべきことを時系列で整理します。
- 退職後に会社から必要な書類を受け取る
- ハローワークで求職の申し込みと受給の手続きをする
- 失業の認定を受けて、基本手当が振り込まれる
それぞれのステップを具体的に見ていきましょう。
退職後に会社から受け取る書類
失業保険の手続きには、会社から受け取る離職票が欠かせません。離職票は、退職後に会社が手続きをして発行されるものです。これがないとハローワークでの手続きが始められません。
離職票について押さえておきたい点は、次のとおりです。
- 会社が離職日の翌々日から10日以内に手続きを行い、離職票が会社経由で本人に交付される
- 離職票には離職理由が記載されており、受給内容に影響する
- 10日を過ぎても届かない場合は、会社に処理状況を確認する
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
離職票が届いたら、記載されている離職理由が実際の状況と合っているかを必ず確認しましょう。会社が手続きをしてくれない場合は、ハローワークに相談することもできます。まずは、この離職票を手元にそろえることが手続きの出発点です。
ハローワークでの手続きステップ
離職票が届いたら、住んでいる地域を管轄するハローワークで手続きを行います。求職の申し込みと受給資格の手続きを同時に進めるのが基本です。手続きが完了すると、そこから受給までのカウントが始まります。
ハローワークでの主なステップは、次のとおりです。
- 離職票を提出し、あわせて求職の申し込みをする
- 受給資格の決定を受け、7日間の待期期間に入る
- 原則として4週間に1回、失業認定日にハローワークへ来所し、失業していることの認定を受ける
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
失業の認定を受けるには、認定日までに一定回数の求職活動をしていることが求められます。失業認定申告書に求職活動の状況などを記入し、雇用保険受給資格者証とともに提出します。この認定を4週間ごとに繰り返しながら、基本手当を受け取っていく流れです。
※ 出典:Azukichi
受け取り開始までにかかる期間の目安
失業保険は、手続きをしてすぐに振り込まれるわけではありません。待期期間や給付制限期間があるため、受け取り開始までにはある程度の時間がかかります。退職理由によって、この期間の長さが変わります。
受け取り開始までの目安を整理すると、次のようになります。
- どの場合も、まず7日間の待期期間がある
- 会社都合の場合は、待期期間後の認定を経て比較的早く支給が始まる
- 自己都合の場合は、待期期間に加えて原則1か月の給付制限期間がある(2025年4月以降)
自己都合退職では、待期期間と給付制限期間を合わせると、最初の振り込みまで一定の期間が空きます。そのため、退職直後の生活費については、ある程度の余裕を見て準備しておくと安心です。正確なスケジュールは、手続きの際にハローワークで確認できます。
退職給付金でよくある疑問
退職給付金については、多くの人が同じような疑問を持ちます。ここでは、特に質問が多い3つのポイントに答えていきます。自分の状況に当てはまるものがないか、確認してみてください。
よくある疑問として、次のようなものがあります。
- 退職金がない会社でも受け取れるのか
- 傷病手当と失業保険は同時にもらえるのか
- 申請の期限はいつまでなのか
順番に見ていきましょう。
退職金がない会社でも受け取れる?
退職金がない会社に勤めていた人でも、退職給付金をあきらめる必要はありません。退職金は会社から出るお金の一部にすぎず、国からの給付は別に存在するからです。会社の制度と国の制度は、切り離して考える必要があります。
この点を整理すると、次のようになります。
- 退職金は会社の制度によるものなので、制度がなければ受け取れない
- 一方、失業保険などの国の給付は、雇用保険の条件を満たせば対象になる
- 「退職金がない=もらえるお金がゼロ」ではない
つまり、退職金制度がない会社に勤めていた人でも、雇用保険に加入していれば失業保険などを受け取れる可能性があります。まずは自分が雇用保険に加入していたかを、給与明細などで確認してみましょう。会社からのお金と国からのお金は、別々に判断することが大切です。
傷病手当と失業保険は同時にもらえる?
傷病手当と失業保険を同時に受け取れるかは、多くの人が気になるところです。結論から言うと、原則として同じ期間に両方を同時に受け取ることはできません。これは、それぞれの制度の目的が異なるためです。
このしくみを整理すると、次のようになります。
- 失業保険は「働ける状態」の人が対象で、傷病手当は「働けない状態」の人が対象
- 働けない状態では失業保険の要件を満たさないため、同時には受給できない
- 健康保険の傷病手当金を受けている期間は、失業保険を受け取れない
ただし、時期をずらせば両方を活用できる場合があります。たとえば、病気で働けない間は健康保険の傷病手当金を受け、回復して働ける状態になってから失業保険に切り替えるという方法です。その際は、受給期間の延長制度を使って失業保険の受給期限を延ばしておく必要があります。
申請の期限はいつまで?
退職給付金には、それぞれ申請の期限があります。期限を過ぎると、条件を満たしていても受け取れなくなることがあるため注意が必要です。代表的な給付の期限を押さえておきましょう。
主な給付の期限を整理すると、次のようになります。
- 失業保険は、原則として離職日の翌日から1年間が受給期間で、この期間を過ぎると所定給付日数が残っていても受け取れなくなる
- 未払賃金立替払制度は、労働者健康安全機構への請求期限が倒産日(認定日)から2年以内
- 退職金の税金の還付申告は、退職した翌年から一定期間可能
※ 出典:MoneyForward/Tsr-net
特に失業保険は、受給期間そのものが離職日の翌日から1年間と決まっています。手続きが遅れると、もらえるはずだった日数分を受け取れなくなることがあります。退職したら、できるだけ早めに手続きを始めることが大切です。
退職給付金を受け取るときの注意点
退職給付金を受け取るにあたっては、いくつか気をつけておきたい点があります。特に近年は、給付金に関する誤解を招く広告や、不正受給のトラブルも見られます。安心して制度を利用するために、注意点を確認しておきましょう。
主な注意点は、次のとおりです。
- 「給付金を増やせる」という広告に注意する
- 申告漏れや不正受給を避ける
- 迷ったときは公的な窓口に相談する
一つずつ見ていきましょう。
「給付金を増やせる」という広告に注意
インターネット上には、「退職給付金を最大限もらえる」「もらい忘れを取り戻せる」といった広告が数多くあります。なかには高額な手数料を取る民間サービスもあり、慎重な判断が必要です。制度そのものは公的なものなので、本来は自分で手続きできます。
広告を見るときの注意点を整理すると、次のようになります。
- 失業保険などの手続きは、無料でハローワークに相談・申請できる
- 「必ず増やせる」といった断定的な表現には注意が必要
- 高額な手数料を求めるサービスは、内容をよく確認する
給付金の金額は、法律や制度のルールによって決まっています。そのため、正規の手続きで受け取れる金額を、民間サービスが勝手に増やせるわけではありません。まずは公的な窓口で、自分がいくら受け取れるのかを確認するのが確実で安全です。
申告漏れ・不正受給を避ける
退職給付金を受け取る際には、正しく申告することが何より大切です。うっかりの申告漏れや、意図的な不正受給は、思わぬペナルティにつながります。特に不正受給は、重いペナルティが科されます。
気をつけたい点を整理すると、次のようになります。
- 失業認定の際は、アルバイトや内定などの状況を正直に申告する
- 働いたのに申告しないと、不正受給とみなされる可能性がある
- 未払賃金立替払制度でも、偽りその他不正の行為により立替払金を得た場合は、返還に加えて相当額の納付が命じられる
※ 出典:Johas
不正受給が発覚すると、受け取った額の返還だけでなく、追加の納付を求められることがあります。意図的でなくても、申告漏れがトラブルの原因になることがあります。分からないことがあれば、自己判断せずに窓口で確認する習慣をつけましょう。
迷ったときの相談先
退職給付金は制度が多く、自分で判断しきれないことも少なくありません。そんなときは、無理に自己判断せず、公的な窓口に相談するのが安心です。多くの窓口は無料で相談に応じてくれます。
主な相談先を整理すると、次のようになります。
- 失業保険や再就職手当、職業訓練については、住んでいる地域のハローワーク
- 退職金の税金については、税務署や国税庁の相談窓口
- 未払賃金立替払制度については、最寄りの労働基準監督署や労働者健康安全機構
未払賃金立替払制度については、厚生労働省も最寄りの労働基準監督署又は労働者健康安全機構の未払賃金立替払相談コーナーに相談するよう案内しています。制度によって相談先が異なるため、自分の疑問がどの分野に当たるかを意識するとスムーズです。一人で抱え込まず、早めに専門の窓口を頼ることが、給付金を確実に受け取る近道になります。
※ 出典:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
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