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就業促進定着手当がもらえない人の共通点とは?原因の見つけ方と受け取るための対処法

この記事でわかること
  • 就業促進定着手当がもらえない主な理由(5つの受給条件)
  • もらえない7つの原因と、自分がどれに当てはまるかの見つけ方
  • 賃金が下がったはずなのにもらえないときの見落としポイント
  • 受け取るための具体的な対処法と、支給額・上限の計算方法

再就職手当を受け取ったあと、半年働いたのに就業促進定着手当が振り込まれない。
そんな声は決して珍しくありません。
この手当は「再就職したすべての人」がもらえる制度ではないからです。

もらえない人には、いくつかの共通したパターンがあります。
逆に言えば、原因さえ特定できれば、書類の出し直しや再計算で受け取れるケースもあります。

この記事では、就業促進定着手当がもらえない主な理由をひとつずつ整理し、原因の見つけ方と受け取るための対処法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
2025年4月の制度改正で上限額が引き下げられた点にも触れていきます。

目次

就業促進定着手当がもらえない主な理由は「5つの受給条件」のどれかを満たしていないこと

就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が、再就職先で6か月以上働き、その間の賃金が離職前より下がっていた場合に支給される制度です。
つまり、いくつかの条件をすべて満たして初めて受け取れる手当です。

もらえない人の多くは、この条件のうちどれか一つを満たしていません。
どこでつまずいているかを知ることが、受け取りへの第一歩になります。

まず、もらえない主な理由を整理すると次のとおりです。

  • 再就職手当そのものを受け取っていない
  • 再就職先で6か月以上、雇用保険に入って働き続けていない
  • 再就職後の賃金が離職前より下がっていない
  • 申請できる期間を過ぎてしまった
  • 提出書類に不備があり、審査を通過していない

いずれも「うっかり」で外れてしまうものばかりです。
自分がどこに当てはまるのかを、この先で一つずつ確認していきましょう。

そもそも制度の対象となる4つの受給条件をおさらい

厚生労働省とハローワークが示す就業促進定着手当の対象者は、はっきり定められています。
公式のリーフレットでは、対象を次のように説明しています。

「就業促進定着手当」とは、再就職手当の支給を受けた方で、再就職先に6か月以上雇用され、再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日数の20%を上限として、低下した賃金の6か月分を支給するものです。

出典 ハローワーク(厚生労働省)「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には『就業促進定着手当』が受けられます」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/syuugyousokushin.pdf

この説明を、初心者にもわかる形で4つの条件に分けると次のようになります。

  • 再就職手当の支給を受けていること
  • 再就職の日から同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
  • 再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回っていること
  • 申請期限(再就職から6か月経過の翌日から2か月以内)に手続きすること

このうち一つでも欠けると支給されません。
まずは自分がどの条件を満たし、どれが不安なのかを見極めることが大切です。

自分がどのパターンに当てはまるかを最初にチェック

原因を探すときは、条件を上から順にたどっていくのが効率的です。
なんとなく「もらえなかった」で終わらせず、どの段階で外れたのかを一つずつ確認していきましょう。

以下のチェックリストを、上から順にたどってみてください。

もらえない原因を探すチェックリスト
  • 再就職手当は実際に振り込まれましたか
  • 今の会社で、雇用保険に入った状態で6か月以上働き続けていますか
  • 再就職後の給料は、1日あたりで前職より下がっていますか
  • 起業ではなく、雇われて働く形で再就職しましたか
  • ハローワークから届いた申請書を、期限内に提出しましたか

「いいえ」が付いた項目が、もらえない原因である可能性が高い場所です。
複数当てはまる人もいれば、たった一つの見落としが原因の人もいます。
次の章から、それぞれの原因を具体的に掘り下げていきます。

就業促進定着手当がもらえない7つの原因を一つずつ解説

ここからは、もらえない原因をより細かく7つに分けて解説します。
自分に当てはまるものがないか、照らし合わせながら読んでみてください。

原因は大きく分けると、条件そのものを満たしていないケースと、手続きでつまずいているケースの2種類があります。
前者は制度上どうにもならないこともありますが、後者は対処できる余地が残っています。

先に7つの原因を並べておきます。

  • 前提となる再就職手当を受け取っていない
  • 再就職先で6か月以上続けて働いていない
  • 再就職後の給料が前職より下がっていない
  • 雇用保険に加入する働き方になっていない
  • 申請できる期間を過ぎてしまった
  • 提出書類に記入漏れやミスがある
  • 審査で条件を満たしていないと判断された

それぞれを順番に見ていきましょう。

前提となる再就職手当を受け取っていない

就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人だけが対象になる「上乗せ」の制度です。
再就職手当を受けていない人には、就業促進定着手当は支給されません。

ここでつまずく人は少なくありません。
たとえば次のようなケースは、再就職手当そのものが対象外となり、結果的に就業促進定着手当ももらえなくなります。

  • 失業保険の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1に満たなかった
  • 個人事業主として独立するなど、起業によって再就職した
  • そもそも失業保険(基本手当)の受給手続きをしていなかった

社会保険給付金アシストの解説でも、再就職手当を受けていない人や起業した人は就業促進定着手当を受給できないと明記されています。

出典 社会保険給付金アシスト「就業促進定着手当とは?条件・金額・申請方法をわかりやすく解説」
https://syoubyouteate.com/2025/09/11/

自分が再就職手当を受け取っているかどうかは、支給決定通知書や口座への振込履歴で確認できます。
まずはこの大前提をクリアしているかを確かめましょう。

再就職先で6か月以上続けて働いていない

この手当は、再就職先に「定着」して働き続けた人を支援するものです。
そのため、同じ事業主のもとで6か月以上続けて働いていることが必須になります。

6か月に届く前に辞めてしまうと、たとえ給料が下がっていても支給されません。
たとえば次のようなケースは対象から外れます。

  • 入社から5か月で退職や転職をした
  • 試用期間中に契約が終了した
  • 事業主の都合による出向などで、6か月たつ前に雇用保険の被保険者資格を失った

ハローワークの公式資料でも、6か月経過前に被保険者資格を喪失した場合は就業促進定着手当を受けられないと説明されています。

出典 ハローワーク(厚生労働省)「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には『就業促進定着手当』が受けられます」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/syuugyousokushin.pdf

給料への不満などから早めに辞めてしまうと、手当を受け取れず損をすることがあります。
6か月という期間は、しっかり意識しておきたいポイントです。

再就職後の給料が前職より下がっていない

就業促進定着手当は、下がった賃金の一部を補う制度です。
そのため、給料が下がっていない人は対象になりません。

前職と同じか、それ以上の給料になった場合は支給されません。
判断のもとになるのは、次のように計算した1日あたりの賃金です。

  • 離職前の賃金日額(雇用保険受給資格者証の14欄「離職時賃金日額」に記載)
  • 再就職後6か月間の賃金の合計を180で割った額

補助金ポータルの解説でも、再就職後6か月間の賃金の1日分の額が離職前の賃金日額を下回ることが要件であり、同額以上や昇給で上回った場合は対象外になると説明されています。

出典 補助金ポータル「就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説」
https://hojyokin-portal.jp/columns/syugyo_sokushin_teate

「月収が下がった気がするのにもらえない」という人は、この1日あたりの比べ方に落とし穴があることが多いです。
くわしくは後の章で解説します。

雇用保険に加入する働き方になっていない

6か月以上働いていても、雇用保険に入っていなければ対象になりません。
就業促進定着手当は、雇用保険の被保険者として働き続けていることが条件だからです。

たとえば次のような働き方は、雇用保険の対象にならないことがあります。

  • 週の所定労働時間が20時間未満の短時間勤務
  • 雇用の見込みが31日に満たない、ごく短期の契約
  • 個人事業主やフリーランスとして業務委託で働いている

パートやアルバイトでも、雇用保険に加入していれば対象になり得ます。
逆に、正社員以外でも加入条件を満たさない働き方だと外れてしまうのです。

自分の給与明細を見て、雇用保険料が天引きされているかを確認してみてください。
天引きがあれば、雇用保険に加入している証拠になります。

申請できる期間(2か月)を過ぎてしまった

条件をすべて満たしていても、申請期限を過ぎると原則として受け取れません。
これは非常に多い失敗のひとつです。

申請期間は、次のように決まっています。

  • 再就職した日から6か月が経過した日の翌日から2か月以内

Indeedの解説でも、原則としてこの期間を過ぎると申請は受け付けてもらえないと説明されています。

出典 Indeed「就業促進定着手当とは?支給条件や申請の流れを紹介」
https://jp.indeed.com/career-advice/starting-new-job/what-employment-stabilization-allowance-eligibility-application-process-introduction

申請書は、再就職からおおむね5か月後にハローワークから郵送されます。
郵送先は再就職手当を申請したときの住所なので、引っ越し後に転居届を出していないと届かないことがあります。
「書類が来なかった」まま期限を過ぎてしまうケースには、特に注意が必要です。

提出書類に記入漏れやミスがある

書類の不備も、支給が遅れたり受け取れなかったりする原因になります。
就業促進定着手当の申請書には、自分で書く欄だけでなく、会社に記入してもらう欄もあるためです。

不備が起きやすいのは、次のような箇所です。

  • 会社が記入する賃金額や基礎日数の欄が空欄になっている
  • 6か月間の出勤簿やタイムカードの写しが添付されていない
  • 給与明細や賃金台帳の写しが不足している

マネーフォワード クラウド給与の解説でも、申請書裏面の賃金支払状況を証明するために出勤簿や給与明細などの添付が必要と説明されています。

出典 マネーフォワード クラウド給与「【記入例付き】就業促進定着手当支給申請書の書き方は?」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/101806/

1点でも不足があると、確認のやり取りで手続きが止まってしまいます。
提出前に、必要書類がすべてそろっているかを念入りに確認しましょう。

審査で条件を満たしていないと判断された

最後に、書類を出したのに審査で不支給と判断されるケースです。
これは、自分では条件を満たしているつもりでも、計算上は要件に届いていなかったパターンが多くを占めます。

ハローワークは、提出された賃金額をもとに次のような計算をして支給の可否を判断します。

  • 再就職後6か月間の賃金合計を180で割り、1日あたりの賃金を算出する
  • その額が離職前の賃金日額を下回っているかを確認する

計算の結果、賃金が下がっていないと判断されれば不支給になります。
また、賃金は下がっていても、上限額のほうが低くなり支給額がごくわずかになることもあります。

不支給の通知が届いたら、なぜその判断になったのかを必ず確認しましょう。
理由がわかれば、再計算や書類の出し直しで対応できる場合もあります。

賃金が下がったはずなのにもらえないときに見落としがちなポイント

「明らかに給料が下がったのに対象外になった」という相談は多いものです。
その背景には、賃金の数え方に関する誤解が隠れていることがよくあります。

就業促進定着手当の判定は、月収の額面をそのまま比べるわけではありません。
ここを取り違えると、下がったつもりでも計算上は下がっていない、という結果になります。

見落としがちなポイントは、主に次の3つです。

  • 残業代や各種手当も賃金に含まれる
  • 総額ではなく1日あたりの額で比べる
  • 最初の給料が1か月分に満たないことがある

順番に確認していきましょう。

残業代や各種手当も「賃金」に含まれる

賃金というと基本給だけを思い浮かべがちですが、判定に使う賃金はもっと広い範囲を指します。
残業代や各種の手当も、賃金の合計に含めて計算されます。

ハローワークの資料によると、賃金に含まれるものと含まれないものは次のように整理されています。

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区分具体例
含まれるもの税金や社会保険料が引かれる前の総支給額、通勤手当、皆勤手当など
含まれないもの夏冬の賞与など、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

出典 ハローワーク(厚生労働省)「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には『就業促進定着手当』が受けられます」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/syuugyousokushin.pdf

つまり、基本給が下がっていても、残業や手当が多ければ賃金の合計は前職と変わらないこともあります。
「基本給だけ見て下がった」と思い込まず、総支給額で比べることが大切です。

賃金は総額ではなく「1日あたりの額」で比べる

もう一つの落とし穴が、比べる単位の違いです。
判定に使われるのは月収の総額ではなく、1日あたりの賃金額です。

再就職後の1日分の賃金は、次のように計算します。

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給与形態1日分の賃金の計算方法
月給制再就職後6か月間の賃金の合計額を180で割った額
日給や時給上記の計算と、賃金合計を実際の労働日数で割って70%を掛けた額の、高いほう

出典 株式会社アルビノ「就業促進定着手当の計算シミュレーション」
https://www.albino.co.jp/simulator-employment-promotion/

この1日あたりの額を、雇用保険受給資格者証に記載された離職時賃金日額と比べます。
前職で残業が多く賃金日額が高かった場合、月収が下がっても1日あたりでは下がっていないと判定されることがあります。
比べる単位を間違えないよう注意しましょう。

最初の給料が1か月分に満たないケースに注意

入社日と給料の締め日の関係によっては、最初の給料が1か月分に満たないことがあります。
この端数の月をそのまま計算に入れてしまうと、1日あたりの賃金が実際より低く出たり、対象期間がずれたりします。

そのため、対象となる6か月間の数え方には特別なルールがあります。

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就職日の状況対象となる6か月間
就職日が給与締め日の翌日の場合就職日から6か月間が対象
就職日が締め日の翌日を過ぎている場合就職日以降の最初の締め日の翌日から6か月間が対象

出典 補助金ポータル「就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説」
https://hojyokin-portal.jp/columns/syugyo_sokushin_teate

この期間のとり方を間違えると、賃金の合計額が変わり、判定結果にも影響します。
正確な対象期間がわからないときは、自己判断せずハローワークに確認するのが確実です。

就業促進定着手当がもらえないときに試したい対処法

もらえない原因がわかったら、次はその対処です。
条件を満たしていないケースでも、手続き上の問題なら受け取れる可能性が残っています。

大切なのは、不支給の通知や書類が届いた時点で早めに動くことです。
申請期限があるため、放置するほど選択肢は狭まってしまいます。

ここでは、試したい対処法を具体的に紹介します。

  • ハローワークで不支給の理由を確認する
  • 書類の不備を直して再提出する
  • 賃金日額を自分で計算し直す
  • やむを得ない事情があれば期限延長を相談する
  • 会社に書類の記入や再発行を依頼する

それぞれ見ていきましょう。

まずはハローワークで不支給の理由を確認する

最初にすべきは、不支給の理由をはっきりさせることです。
理由がわからないまま自己判断で諦めてしまうと、受け取れたはずの手当を逃すことになりかねません。

ハローワークに問い合わせるときは、次のものを手元に用意しておくとスムーズです。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 再就職手当や就業促進定着手当の支給(不支給)決定通知書
  • 再就職後の給与明細

ハローワークは平日の9時から17時が基本の受付時間です。
窓口が混み合うこともあるため、時間に余裕をもって相談するとよいでしょう。

不支給の理由が「賃金が下がっていない」なのか「書類の不備」なのかで、次の打ち手は変わります。
まずは正確な理由をつかむことが出発点になります。

書類の不備を直して期限内に再提出する

不支給や保留の原因が書類の不備であれば、直して出し直すことで受け取れる可能性があります。
記入漏れや添付漏れは、比較的リカバリーしやすい原因です。

再提出の前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 会社に記入してもらう欄がすべて埋まっているか
  • 出勤簿やタイムカードの写しが6か月分そろっているか
  • 給与明細や賃金台帳の写しに抜けがないか

なお、申請書を書き間違えた場合は、修正液や修正テープは使わず、二重線と訂正印で直すのが基本です。

出典 マネーフォワード クラウド給与「【記入例付き】就業促進定着手当支給申請書の書き方は?」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/101806/

再提出にも申請期限は適用されます。
不備に気づいたら、できるだけ早く修正して出し直すことが大切です。

賃金日額をもう一度自分で計算し直す

「下がっていない」と判断された場合でも、計算の前提を見直すと結果が変わることがあります。
自分でも一度、賃金日額を計算し直してみましょう。

計算の手順は次のとおりです。

  • 離職前の賃金日額を、雇用保険受給資格者証の14欄で確認する
  • 再就職後6か月間の総支給額(残業代や手当を含む)を合計する
  • 合計額を180で割って、再就職後の1日あたりの賃金を出す
  • 両者を比べて、再就職後のほうが低いかを確認する

出典 株式会社アルビノ「就業促進定着手当の計算シミュレーション」
https://www.albino.co.jp/simulator-employment-promotion/

残業代や手当の集計漏れ、対象期間の取り違えがあれば、結果が変わることもあります。
自分の計算とハローワークの判断が食い違うときは、その根拠を持って相談してみましょう。

やむを得ない事情があるなら期限延長を相談する

申請期限を過ぎると原則として受け取れませんが、例外がまったくないわけではありません。
特別な事情があると認められる場合には、期限後でも受け付けてもらえる可能性があります。

たとえば次のような事情が考えられます。

  • 病気やけがで長期の入院が必要だった
  • 本人や家族の看護、介護に追われていた
  • 災害などで手続きができる状況になかった

出典 補助金ポータル「就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説」
https://hojyokin-portal.jp/columns/syugyo_sokushin_teate

認められるかどうかはハローワークの判断によります。
自己判断で諦めず、事情を証明できる書類を用意して、まずは相談してみることをおすすめします。

会社に書類の記入・再発行を依頼する

申請には、会社が記入する欄や、会社が発行する書類が欠かせません。
会社の協力が得られず、書類がそろわないために申請が進まないこともあります。

会社に依頼しておきたいのは、主に次のものです。

  • 申請書のうち、賃金額や基礎日数など会社記入欄への記入
  • 6か月間の出勤簿やタイムカードの写し
  • 6か月間の給与明細または賃金台帳の写し

もし会社が正当な理由なく協力を拒む場合は、一人で抱え込まないでください。
ハローワークから会社へ説明や協力を依頼してくれる場合があると案内されています。

出典 マネーフォワード クラウド給与「【記入例付き】就業促進定着手当支給申請書の書き方は?」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/101806/

まずは会社の人事や総務に早めに依頼し、それでも難しいときはハローワークに状況を伝えましょう。

就業促進定着手当は結局いくらもらえる?計算方法と上限を確認

条件を満たしていても、実際の支給額は人によって大きく異なります。
「思ったより少なかった」という声が多いのは、上限額の仕組みが関係しています。

ここでは、支給額の計算方法と上限の考え方を整理します。
2025年4月の改正で上限が下がった点も押さえておきましょう。

まず、支給額は次の2つを計算し、低いほうが実際の支給額になります。

  • 支給額 (離職前の賃金日額 − 再就職後6か月間の1日分の賃金) × 6か月間の賃金支払いの基礎となった日数
  • 上限額 基本手当日額 × 支給残日数 × 20%

下がった賃金がそのまま満額もらえるとは限らない、という点が重要です。

支給額の基本的な計算式

まずは、上限を考えない場合の基本の支給額から見ていきます。
これは、下がった賃金の6か月分を積み上げた金額です。

計算に使う要素は次の3つです。

  • 離職前の賃金日額 雇用保険受給資格者証の14欄に記載
  • 再就職後6か月間の1日分の賃金 6か月間の賃金合計を180で割った額
  • 賃金支払いの基礎となった日数 6か月間の対象日数

出典 ハローワーク(厚生労働省)「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には『就業促進定着手当』が受けられます」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/syuugyousokushin.pdf

たとえば1日あたりの賃金が2,000円下がり、対象日数が180日なら、単純計算で36万円になります。
ただし、この金額がそのまま支給されるとは限りません。
次に説明する上限額が関わってくるからです。

2025年4月の改正で上限が引き下げられた点に注意

2025年4月1日の雇用保険法の改正で、上限額の計算に使う割合が引き下げられました。
これにより、同じ条件でも受け取れる金額が以前より少なくなっています。

改正前後の違いは次のとおりです。

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区分上限額の割合
改正前基本手当の支給残日数の40%または30%が上限
改正後
(2025年4月1日以降に再就職手当を受けた場合)
一律で支給残日数の20%が上限

出典 FOLIO(税理士法人)「【2025年4月1日改正】『就業促進手当』が一部廃止・上限引き下げへ」
https://cashmo.jp/blog/2025/06/05/employment-promotion-allowance-will-be-partially-abolished/

なお、この計算に使う支給残日数は、再就職手当の計算に使われた支給残日数です。
再就職手当を受け取ったあとに残った日数ではない点に注意が必要です。
「差額では数十万円あるはずなのに、実際は10万円ほどだった」という声は、この上限が原因であることが多いのです。

具体的な数字を当てはめたシミュレーション

言葉だけではイメージしづらいので、具体的な数字で確認してみましょう。
株式会社アルビノが示している計算例をもとに整理します。

前提となる数字は次のとおりです。

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項目数値
離職前の賃金日額11,200円
再就職後の1日分の賃金8,500円
賃金支払いの基礎となった日数184日
基本手当日額4,436円
支給残日数120日

この場合、それぞれの計算は次のようになります。

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区分計算式と結果
支給額(11,200円 − 8,500円) × 184日 = 496,800円
上限額4,436円 × 120日 × 20% = 106,464円

出典 株式会社アルビノ「就業促進定着手当の計算シミュレーション」
https://www.albino.co.jp/simulator-employment-promotion/

支給額と上限額を比べると、低いほうの上限額が実際の支給額になります。
このケースでは、差額の計算では約49万円でも、実際に受け取れるのは約10万6千円です。
上限の影響がいかに大きいかがわかります。

条件を満たせないときに検討したい他の支援制度

就業促進定着手当の条件に届かなかったとしても、支援の道はほかにもあります。
再就職や生活を支える制度は複数あるためです。

自分の状況によって使える制度は変わります。
ここでは、あわせて検討したい3つの制度を紹介します。

  • 早期の再就職を支える再就職手当
  • 就職が困難な人向けの常用就職支度手当
  • 雇用保険の対象外でも使える求職者支援制度

それぞれの特徴を見ていきましょう。

早期の再就職を支える再就職手当

再就職手当は、就業促進定着手当の前段階にあたる制度です。
失業保険の受給中に早く安定した仕事に就いた人に支給されます。

支給の目安となるのは、基本手当の支給残日数です。
支給率は残日数によって次のように変わります。

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支給残日数支給率
所定給付日数の3分の2以上支給率70%
所定給付日数の3分の1以上支給率60%

出典 補助金ポータル「就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説」
https://hojyokin-portal.jp/columns/syugyo_sokushin_teate

早く再就職するほど支給率が高くなる仕組みです。
まだ再就職手当を申請していない人は、こちらの対象になるかを先に確認しましょう。
再就職手当を受け取ることが、就業促進定着手当への入り口にもなります。

就職が困難な人向けの常用就職支度手当

常用就職支度手当は、就職が特に難しい事情を抱えた人を支援する制度です。
再就職手当の対象にならない人でも、こちらに該当する場合があります。

対象として想定されているのは、次のような方です。

  • 障害があるなど、就職が困難と認められる方
  • 高年齢の受給資格者
  • 一定の要件を満たし、安定した職業に就いた方

出典 FOLIO(税理士法人)「【2025年4月1日改正】『就業促進手当』が一部廃止・上限引き下げへ」
https://cashmo.jp/blog/2025/06/05/employment-promotion-allowance-will-be-partially-abolished/

2025年4月以降、就業促進手当は再就職手当と就業促進定着手当、常用就職支度手当に整理されました。
自分が就職困難者に当たるかどうかは、ハローワークの窓口で相談できます。
再就職手当が難しい場合の選択肢として覚えておきましょう。

雇用保険の対象外でも使える求職者支援制度

雇用保険をそもそも受け取れない人には、求職者支援制度があります。
これは、無料の職業訓練を受けながら生活を支える給付金を受け取れる制度です。

厚生労働省は、この制度を次のように説明しています。

求職者支援制度は、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講する制度です

出典 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html

給付金(職業訓練受講給付金)を受け取るには、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下などの要件があります。
要件を満たさなくても、無料の職業訓練だけは受講できます。
雇用保険の対象外だった方や受給が終わった方は、ハローワークで相談してみるとよいでしょう。

就業促進定着手当を受け取ったあとに退職しても返還は必要?

無事に手当を受け取れたあと、事情があって退職することもあります。
そのとき「手当を返さないといけないのでは」と不安になる人もいるでしょう。

結論から言えば、正しく受給していれば返還は不要です。
ただし、いくつか知っておくべき前提があります。

ポイントを整理すると次のとおりです。

  • 6か月以上働いた実績があれば、その後の退職で返還を求められることはない
  • 虚偽の申請をしていた場合は、返還命令の対象になる

順番に確認しましょう。

6か月経過後の退職なら返す必要はない

就業促進定着手当は、再就職先で6か月以上働いたことを条件に支給されるものです。
その6か月の勤務を終えて受給した以上、支給後に退職しても返還は求められません。

支給後に離職した場合の扱いについて、ハローワークは次のように案内しています。

就業促進定着手当の支給後に、離職し失業状態になった場合は、再就職手当と就業促進定着手当を除く残日数分の基本手当を受給できる場合があります

出典 ハローワーク(厚生労働省)「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には『就業促進定着手当』が受けられます」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/syuugyousokushin.pdf

つまり返還どころか、条件によっては残った日数分の基本手当を受け取れることもあります。
6か月の勤務という条件を満たしていれば、退職を過度に心配する必要はありません。

虚偽の申請は返還命令の対象になる

一方で、事実と異なる内容で受給した場合は話が別です。
不正な申請は返還命令の対象となり、厳しいペナルティが科されます。

たとえば次のような行為は不正受給とみなされる可能性があります。

  • 実際には働いていない期間を働いたように偽る
  • 賃金額を実際より低く申告する
  • 出勤簿などの書類を偽って作成する

雇用保険をはじめとする給付金では、不正受給が判明すると全額の返還に加え、追加の納付を求められることがあります。
悪質な場合は刑事告発に至ることもあると案内されています。

出典 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html

正しく申請していれば恐れることはありません。
書類は事実に基づいて正確に記入することが、何よりの自衛策になります。

就業促進定着手当がもらえないときのよくある質問

最後に、就業促進定着手当をめぐってよく寄せられる質問をまとめます。
迷いやすいポイントを、Q&A形式で確認しておきましょう。

ここで取り上げるのは、次の3つの疑問です。

  • 前職より給料が上がった場合は本当に対象外なのか
  • 申請期限を過ぎたらもう受け取れないのか
  • 審査にはどれくらい時間がかかるのか

それぞれ回答していきます。

前職より給料が上がった場合は本当に対象外?

給料が上がった場合は、原則として対象外です。
就業促進定着手当は、下がった賃金を補うための制度だからです。

ただし、判定は月収の額面ではなく1日あたりの賃金で行われます。
そのため、次のような可能性は残っています。

  • 月収は上がったが、労働日数が増えたため1日あたりでは下がっている
  • 基本給は上がったが、前職の残業代や手当が多く1日あたりでは下がっている

補助金ポータルの解説でも、昇給などで離職前の賃金日額を上回った場合は差額が生じず対象外になると説明されています。

出典 補助金ポータル「就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説」
https://hojyokin-portal.jp/columns/syugyo_sokushin_teate

見た目の月収だけで判断せず、1日あたりで計算し直してみることをおすすめします。

申請期限を過ぎたらもう受け取れない?

申請期限を過ぎると、原則として受け取れません。
期限は、再就職から6か月経過の翌日から2か月以内と定められています。

ただし、次のような場合には例外が認められることがあります。

  • 病気やけが、看護や介護など、やむを得ない事情があった
  • 災害などで手続きができる状況になかった

出典 補助金ポータル「就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説」
https://hojyokin-portal.jp/columns/syugyo_sokushin_teate

期限が近い、あるいは少し過ぎてしまったという場合も、まずはハローワークに相談してみてください。
自己判断で諦める前に、事情を伝えて確認することが大切です。

審査にはどれくらい時間がかかる?

申請してから支給までには、一定の期間がかかります。
書類の審査や内容確認が行われるため、すぐに振り込まれるわけではありません。

目安としては、次のように案内されています。

  • 書類に不備がなければ、通常2週間から1か月程度で指定口座に振り込まれる

出典 マネーフォワード クラウド給与「【記入例付き】就業促進定着手当支給申請書の書き方は?」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/101806/

ただし、書類に不備があると追加の確認が必要になり、さらに時間がかかります。
早く確実に受け取るためにも、必要書類をそろえ、記入漏れのないよう事前に準備しておきましょう。
不明な点があれば、提出前にハローワークに確認しておくと安心です。

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