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傷病手当金はいくら?金額がひと目でわかる早見表と手取りの目安

病気やケガで働けなくなったとき、まず気になるのが「収入がどれくらい減るのか」という不安です。そんなときに生活を支えてくれるのが、健康保険から支給される傷病手当金です。とはいえ、実際にいくらもらえるのか、手取りはどのくらい残るのか、イメージしづらい方も多いのではないでしょうか。この記事では、傷病手当金の金額の目安から、月収別の早見表、計算方法、手取りの考え方まで、初めての方でも迷わないようにやさしく整理して解説します。専門用語もかみくだいて説明していくので、読み終えるころには自分の受給額の見当がつくはずです。

この記事でわかること
  • 傷病手当金の金額の目安は月給のおよそ3分の2
  • 月収別・標準報酬月額別の早見表で受給額の見当がつく
  • 社会保険料や住民税が引かれ、手取りは満額より少なくなる
  • 受給できる人の条件と申請から振り込みまでの流れ
目次

傷病手当金の金額は月給のおよそ3分の2が目安

傷病手当金の金額は、ざっくり言うと「普段の月給の3分の2くらい」がひとつの目安になります。これは全額が補償されるわけではなく、収入の一部をカバーする仕組みだからです。正確には、給料そのものではなく「標準報酬月額」という保険料計算のもとになる金額を使って計算します。金額の全体像をつかむために、まずは目安となる考え方を整理しておきましょう。おおまかなイメージとしては、次のような比率になります。

  • 普段の月給を10とすると、傷病手当金はおよそ6.6〜6.7程度
  • つまり月給の約66.7%(3分の2)が支給額の目安
  • ただしここから社会保険料などが引かれるため、実際に使えるお金はさらに少なくなる

この「3分の2」という比率さえ覚えておけば、自分の受給額をざっくり見積もれます。たとえば月給30万円の方であれば、支給額の目安は月20万円前後です。まずは大枠をつかんだうえで、次から日額や1カ月あたりの考え方を詳しく見ていきます。

まずは「日額」と「1カ月あたり」の考え方を知ろう

傷病手当金は、月単位ではなく1日ごとに金額が決まる「日額」で計算される点が大きな特徴です。働けなかった日数に応じて支給されるため、まず1日あたりの金額を出し、それに休んだ日数をかけて総額を求める流れになります。全国健康保険協会(協会けんぽ)は、1日あたりの支給額について、支給開始日以前の直近12カ月間の標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2にあたる金額だと説明しています。

1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)

引用元:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/002/index.html

たとえば平均の標準報酬月額が30万円なら、30万円÷30日で日額の基礎が1万円となり、その3分の2で約6,667円が1日あたりの支給額です。1カ月分を知りたいときは、この日額に休んだ日数をかけます。仮に30日分受け取れば、約6,667円×30日でおよそ20万円という計算になります。このように「まず日額、そこから月額」という順番で考えると、金額をつかみやすくなります。

手取りは満額より少なくなる点に注意

傷病手当金の「3分の2」という数字は、あくまで支給される額面の話です。実際に銀行口座に振り込まれ、生活に使えるお金はこれより少なくなります。なぜなら、休職中でも支払いが続くお金があるからです。金融機関の解説でも、傷病手当金自体は非課税である一方、休職中も社会保険料や住民税の負担は続くと説明されています。

支給額から差し引かれる主なものは、次のとおりです。

  • 健康保険料・厚生年金保険料などの社会保険料(休職中も原則として支払いが続く)
  • 住民税(前年の所得をもとに計算されるため、収入が減っても納める必要がある)

一方で、傷病手当金には所得税がかからないため、そのぶん手取りの目減りは抑えられます。目安としては、額面の3分の2からさらに社会保険料や住民税が引かれ、手取りは普段の月給の半分前後になるケースもあります。「3分の2もらえるから安心」と考えるのではなく、そこから引かれるお金があると理解しておくことが、生活設計のうえで大切です。

【月収別】傷病手当金の金額がわかる早見表

自分がいくら受け取れるのかを知るいちばんの近道は、月収別の早見表を使うことです。細かい計算をしなくても、自分の月収に近い金額を探せば、日額や1カ月あたりの目安がすぐにわかります。ここでは代表的な月収ごとに、支給額の目安を一覧にまとめました。まずは表を見て、自分がどのあたりに当てはまるかをつかんでみてください。

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月収(標準報酬月額の目安)1日あたりの支給額1カ月あたり(30日分)の目安
20万円約4,444円約13.3万円
26万円約5,778円約17.3万円
30万円約6,667円約20.0万円
36万円約8,000円約24.0万円
40万円約8,889円約26.7万円
50万円約11,111円約33.3万円

※ 金額はいずれも「月収÷30×3分の2」で計算した概算です。

上の金額はいずれも「月収÷30×3分の2」で計算した概算です。あくまで額面の目安であり、ここから社会保険料や住民税が引かれる点は前の章で見たとおりです。次からは、この表を実際に自分のケースへ当てはめる方法を見ていきます。

月収から自分の受給額をあてはめる方法

早見表を使うときにまず必要なのが、自分の月収がどの行に近いかを確認することです。ここでいう月収は手取りではなく、社会保険料が引かれる前の総支給額に近い金額をイメージすると当てはめやすくなります。基本給だけでなく、残業代や通勤手当なども含めた金額がもとになるためです。

自分の受給額を早見表から確認する手順は、次のとおりです。

  • 給与明細などで、税金や保険料が引かれる前のおおよその月収を確認する
  • 早見表の「月収」の列から、自分にいちばん近い金額の行を選ぶ
  • その行の「1日あたり」と「1カ月あたり」を、自分の受給額の目安として読む

たとえば総支給がおよそ30万円の方なら、日額約6,667円、1カ月あたり約20万円が目安です。月収が表の金額のちょうど中間にある場合は、上下の行の間くらいと考えればおおよそのイメージがつかめます。ただし、これはあくまで目安です。正確な金額は、次に説明する標準報酬月額をもとに決まります。

標準報酬月額の等級別で見る日額一覧

より正確な金額を知りたいときは、「標準報酬月額」という区分を使います。標準報酬月額とは、毎月の給料を一定のランク(等級)に当てはめたもので、健康保険料や厚生年金保険料の計算にも使われる基準です。実際の給料そのものではなく、幅を持たせた区分で決まる点がポイントになります。

代表的な標準報酬月額ごとの日額は、次のとおりです。

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標準報酬月額1日あたりの支給額
22万円約4,889円
24万円約5,333円
28万円約6,222円
32万円約7,111円
38万円約8,444円
44万円約9,778円

自分の標準報酬月額は、給与明細や健康保険料の金額から推測できるほか、勤務先の担当部署や加入している健康保険にたずねると確認できます。なお、標準報酬月額には上限があるため、給料がとても高い方でも支給額は一定の金額で頭打ちになります。まずは自分の等級を把握することが、正確な金額を知る第一歩です。

早見表を使うときの注意点

早見表はとても便利ですが、あくまで概算だという前提で使うことが大切です。表の金額と実際の支給額がぴったり一致するとは限らないため、いくつか気をつけたいポイントがあります。思い込みで受給額を多く見積もってしまうと、生活設計が狂ってしまうこともあります。

早見表を使うときに意識しておきたい注意点は、次のとおりです。

  • 表の金額は「30日分」で計算した概算で、実際の支給日数は月によって異なる
  • 表示されているのは額面であり、社会保険料や住民税を引く前の金額である
  • 待期期間の最初の3日間は支給対象にならないため、初回はその分だけ少なくなる
  • 標準報酬月額が表の区分と異なる場合は、金額もその分ずれる

これらを踏まえると、早見表は「だいたいこのくらい」という目安を知るためのものだと考えるのが安全です。より正確に知りたい場合は、次の章で紹介する計算方法で自分の数字を当てはめてみましょう。

傷病手当金の金額の計算方法をやさしく解説

早見表で大まかな金額がつかめたら、次は自分の給料をもとに計算してみましょう。計算式は一見むずかしそうに見えますが、順番どおりに進めれば難しくありません。ここでは計算式そのものと、具体的な数字を使った例、そして加入期間が短い場合の特別なルールまで、順を追って解説します。電卓があれば、自分の受給額をほぼ正確に出せるようになります。

1日あたりの支給額を求める計算式

傷病手当金の計算は、1日あたりの金額を求めることから始まります。この日額さえ出せれば、あとは休んだ日数をかけるだけで総額がわかります。基本となる計算式は、協会けんぽが示しているものと同じで、次のステップに分けて考えると理解しやすくなります。

計算の流れは、次のとおりです。

  • ステップ1:支給開始日以前の直近12カ月間の標準報酬月額を平均する
  • ステップ2:その平均額を30で割り、1日あたりの金額(標準報酬日額)を出す
  • ステップ3:その金額に3分の2をかける

この3ステップで出た金額が、1日あたりの傷病手当金です。式にまとめると「直近12カ月の標準報酬月額の平均額÷30×2/3」となります。数字を当てはめるだけなので、自分の標準報酬月額さえわかれば計算できます。次に、実際の給与を使って計算してみましょう。

実際の給与で計算してみる具体例

言葉だけではイメージしづらいので、具体的な数字で計算してみます。ここでは、直近12カ月の標準報酬月額の平均が30万円だった場合を例にします。実際に手を動かしてみると、計算のシンプルさが実感できるはずです。

計算の手順は、次のとおりです。

  • 平均の標準報酬月額:30万円
  • 30万円÷30日=1万円(1日あたりの標準報酬日額)
  • 1万円×2/3=約6,667円(1日あたりの傷病手当金)
  • 約6,667円×30日=約20万円(30日分の目安)

このように、平均の標準報酬月額が30万円の方は、1カ月あたりおよそ20万円が支給額の目安になります。月の途中から休み始めた場合や、待期期間がある初月は、支給日数が減るぶん金額も少なくなります。自分の標準報酬月額を上の「30万円」の部分に入れ替えれば、同じ手順で計算できます。

加入期間が1年に満たない場合の計算ルール

転職や就職から間もない方は、健康保険の加入期間が12カ月に満たないことがあります。その場合は、直近12カ月の平均が出せないため、特別な計算ルールが使われます。知らないと金額を見誤りやすいので、あてはまる方は必ず確認しておきましょう。協会けんぽは、加入期間が12カ月に満たない場合の扱いを次のように説明しています。

支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額 イ 標準報酬月額の平均額

引用元:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/002/index.html

ここでいう「イ」の金額は、協会けんぽの場合、支給開始日が令和7年4月1日以降であれば32万円と定められています。つまり、自分の平均標準報酬月額と32万円を比べて、低いほうの金額をもとに計算する仕組みです。給料が高い方でも、加入期間が短いうちはこの上限があるため、想定より金額が抑えられる場合があります。自分がどちらに当てはまるか、加入期間もあわせて確認しておくと安心です。

傷病手当金からも引かれるお金と実際に使える金額

傷病手当金は非課税と聞くと、まるまる手元に残る印象を持つかもしれません。しかし実際には、休職中でも支払わなければならないお金があり、そのぶん手取りは減ります。ここでは、支給額から引かれるものと、逆にかからないものを整理します。何が引かれて何が引かれないのかを知っておくと、実際に使えるお金を正確に見積もれます。

支払いが続く社会保険料

休職して給料が止まっても、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の支払いは続きます。これらは在職している限り原則として発生し続けるため、傷病手当金の中から負担することになります。在職中は給料から天引きされていた保険料を、休職中は別の方法で納めるケースもあります。

社会保険料について押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 健康保険料と厚生年金保険料は、休職中も原則として支払いが必要
  • 給料からの天引きができない場合、会社の指定する方法で振り込むこともある
  • 支払い方法は会社によって異なるため、休職前に確認しておくと安心

社会保険料は金額もそれなりに大きいため、手取りに与える影響も小さくありません。どのように支払うことになるのか、休職に入る前に勤務先の担当部署に確認しておくとよいでしょう。

前年の収入にかかる住民税

住民税も、休職中の手取りを減らす要因のひとつです。住民税は前年の所得をもとに計算されるという特徴があり、今年の収入が減ったからといってすぐに安くなるわけではありません。つまり、働いていた昨年の収入に応じた住民税を、収入が減った今年に納めることになります。

住民税について理解しておきたい点は、次のとおりです。

  • 前年の所得をもとに金額が決まるため、休職して収入が減っても納税額はすぐには下がらない
  • 給料天引き(特別徴収)ができなくなると、自分で納める方法(普通徴収)に切り替わることがある
  • 納付書が届いたら、自分で納期までに支払う必要がある

住民税は忘れたころに納付書が届くことがあり、家計を圧迫する原因になりがちです。休職中は収入が減ることを前提に、住民税の支払いもあらかじめ見込んでおくことが大切です。

所得税がかからない理由

社会保険料や住民税が引かれる一方で、傷病手当金には所得税がかかりません。これは、傷病手当金が「所得」ではなく、生活を保障するための給付とみなされているためです。そのため、給料のように所得税や復興特別所得税が源泉徴収されることはありません。

所得税に関して押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 傷病手当金は非課税所得にあたり、所得税はかからない
  • 給料と違い、支給時に所得税が天引きされることもない
  • 傷病手当金だけであれば、原則として確定申告も不要

この非課税という性質があるため、傷病手当金は同じ金額の給料よりも手取りベースでは有利に働きます。ただし社会保険料や住民税は別途かかるので、「非課税だから全額使える」というわけではない点には注意が必要です。

傷病手当金の金額が減る・受け取れなくなるケース

傷病手当金は、条件を満たしていても、ほかの収入や給付との関係で金額が減ったり、受け取れなくなったりすることがあります。これは、同じ目的の給付を二重に受け取れないように調整される仕組みがあるためです。どんなときに調整されるのかを知っておくと、想定外の減額に慌てずにすみます。ここでは代表的なケースを順番に見ていきます。

会社から給与が支払われたとき

傷病手当金は、給料が支払われていないことが前提の給付です。そのため、休職中でも会社から給料が出ている場合は、原則として傷病手当金は支給されません。ただし、給料の一部だけが支払われているケースでは、扱いが変わります。

給与が支払われた場合の扱いは、次のとおりです。

  • 給料が傷病手当金と同額かそれ以上支払われている場合は、傷病手当金は支給されない
  • 給料の額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給される
  • 有給休暇で給料が出た日も、給料が支払われた日として扱われる

つまり、給料が出ているあいだは傷病手当金が減額または不支給になり、給料が傷病手当金を下回るときだけ差額が受け取れる仕組みです。有給休暇を使うタイミングによっても金額が変わるため、休み方を考えるうえで意識しておきたいポイントです。

出産手当金を受け取っているとき

出産手当金を受け取っている期間は、傷病手当金との調整が行われます。どちらも健康保険から支給される給付ですが、同じ期間に両方を満額受け取ることはできません。この場合は、出産手当金が優先される扱いになります。協会けんぽも、両方を受給できる場合の扱いを次のように説明しています。

両方を受給できる期間は、出産手当金のみ支給されます。ただし(中略)出産手当金の額が傷病手当金の額よりも少ない場合には、傷病手当金を請求することにより、出産手当金との差額が支給されます。

引用元:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/002/index.html

このように、原則は出産手当金が支給され、傷病手当金は出ません。ただし出産手当金の日額のほうが少ない場合には、その差額を傷病手当金として受け取れます。出産と傷病が重なる時期は金額の計算が複雑になりやすいので、加入先に確認するのが確実です。

労災の休業補償給付を受けているとき

仕事や通勤が原因の病気やケガは、健康保険ではなく労災保険の対象になります。そのため、労災保険から休業補償給付を受けている場合、その同じ病気やケガについて傷病手当金は支給されません。傷病手当金は、あくまで業務外の私的な病気やケガを対象とした給付だからです。

労災との関係で押さえておきたい点は、次のとおりです。

  • 業務中や通勤中のケガ・病気は労災保険の対象で、傷病手当金の対象外
  • 労災の休業補償給付と傷病手当金を、同じ傷病で同時に受け取ることはできない
  • 別の病気やケガであれば、それぞれ対象になる場合もある

自分の病気やケガが業務によるものかどうかで、利用できる制度が変わります。判断に迷う場合は、勤務先や労働基準監督署、加入している健康保険に相談するとよいでしょう。

障害年金・障害手当金を受けているとき

同じ病気やケガが原因で障害年金や障害手当金を受け取っている場合も、傷病手当金との調整が行われます。これも、同じ理由で複数の給付を重ねて満額受け取れないようにするための仕組みです。基本的には、障害年金などが優先され、傷病手当金は差額のみの調整となります。

障害年金・障害手当金との調整のポイントは、次のとおりです。

  • 同じ傷病による障害厚生年金を受けている場合、傷病手当金は原則として支給されない
  • ただし、障害年金の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給される
  • 障害手当金を受けた場合も、一定の期間は調整の対象になる

このように、障害に関する給付を受けていると、傷病手当金は減額または不支給になることがあります。複数の給付が関わるときは金額の計算が複雑になるため、年金事務所や健康保険に確認しておくと安心です。

老齢年金を受けているとき

退職後に傷病手当金を受け取るケースでは、老齢年金との調整にも注意が必要です。在職中は問題になりにくいのですが、退職して資格喪失後に傷病手当金を受け取る場合、老齢退職年金を受けていると調整が行われます。これも給付の重複を避けるための仕組みです。

老齢年金との調整で知っておきたい点は、次のとおりです。

  • 退職後(資格喪失後)に傷病手当金を受ける人が、老齢退職年金も受けている場合が対象
  • 原則として老齢年金が優先され、傷病手当金は調整される
  • 年金の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給される

在職中に受け取る傷病手当金では、この調整は基本的に関係ありません。退職後も継続して傷病手当金を受け取る予定の方は、年金との関係もあわせて確認しておきましょう。

傷病手当金を受け取れる人の条件

傷病手当金は、健康保険に加入していれば誰でも自動的にもらえるわけではありません。いくつかの条件をすべて満たして初めて受け取れる給付です。自分が対象になるかどうかを事前に確認しておくと、申請の準備もスムーズに進みます。ここでは、対象者と受給条件、そして支給が始まるまでの待期期間について整理します。

対象となるのは健康保険の加入者

傷病手当金を受け取れるのは、勤務先の健康保険に加入している被保険者本人です。会社員や公務員など、給料から健康保険料を納めている人が対象になります。一方で、対象にならない人もいるため、まずは自分が該当するかを確認しましょう。

対象になる人・ならない人の目安は、次のとおりです。

  • 対象になる:協会けんぽや健康保険組合、共済組合に加入している被保険者本人
  • 対象になる:条件を満たせばパートやアルバイトでも、社会保険に加入していれば対象
  • 対象にならない:被保険者に扶養されている家族(被扶養者)
  • 対象にならない:自営業などで国民健康保険に加入している人

このように、傷病手当金は基本的に「勤務先の健康保険に本人として加入している人」のための制度です。国民健康保険には原則として傷病手当金の制度がない点は、特に間違えやすいので注意しておきましょう。

4つの受給条件をチェック

対象者であっても、実際に支給されるにはさらに具体的な条件を満たす必要があります。これらは、傷病手当金の目的である「働けない期間の生活保障」に沿って定められています。自分の状況が当てはまるか、ひとつずつ確認してみましょう。

傷病手当金の4つの受給条件
  • 業務外の病気やケガの療養のためであること(仕事や通勤が原因のものは労災の対象)
  • 療養のために働くことができない状態であること(医師の意見などをもとに判断される)
  • 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
  • 休んだ期間について給料の支払いがないこと(一部支給の場合は差額を支給)

この4つをすべて満たしたときに、傷病手当金の支給対象となります。どれかひとつでも欠けると受け取れないため、申請前に全体をチェックしておくことが大切です。特に「働けない状態であること」は医師の証明が必要になるので、早めに主治医へ相談しておきましょう。

支給が始まるまでの待期期間とは

傷病手当金は、休み始めてすぐに支給されるわけではありません。支給が始まる前に「待期期間」という仕組みがあり、この期間が完成して初めて4日目から支給が始まります。待期期間の考え方を誤解していると、金額の見込みがずれてしまうので正しく理解しておきましょう。

待期期間について押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 連続して3日間仕事を休むと、待期期間が完成する
  • この3日間には、土日祝日などの公休日や有給休暇の日も含まれる
  • 待期期間の3日間は支給の対象にならず、支給は4日目から
  • 連続していないと待期は完成せず、たとえば2日休んで3日目に出勤すると成立しない

このように、最初の3日間は支給されないため、初月の金額はそのぶん少なくなります。「連続して」3日間である点が重要で、間に出勤日が入ると待期が成立し直しになる点にも注意しましょう。

傷病手当金を申請してお金を受け取るまでの流れ

条件を満たしていても、申請しなければ傷病手当金は受け取れません。申請には書類の記入や、会社・医師からの証明などいくつかのステップがあります。流れを先に把握しておくと、準備がスムーズになり、受け取りまでの時間も短くできます。ここでは、申請書の入手から振り込みまでの流れを順番に見ていきます。

傷病手当金を受け取るまでの3ステップ
  • 申請書を入手し、本人が書ける部分を記入する
  • 会社・医師にそれぞれの証明欄を書いてもらう
  • 加入している健康保険へ提出し、審査を経て振り込まれる

申請書の入手と記入のしかた

最初のステップは、傷病手当金支給申請書を手に入れることです。申請書は、加入している健康保険から入手します。協会けんぽの場合は、公式サイトからダウンロードできるため、待期期間のあいだに準備しておくと効率的です。

申請書に関して押さえておきたい点は、次のとおりです。

  • 協会けんぽの申請書は公式サイトからダウンロードできる
  • 健康保険組合や共済組合の場合は、それぞれの窓口やサイトで入手する
  • 申請書には本人が記入する欄のほか、会社と医師が記入する欄がある
  • 記入漏れがあると差し戻される場合があるため、記入例をよく確認する

申請書は本人だけで完結せず、会社と医師の記入が必要になる点がポイントです。待期期間中に申請書を用意し、自分で書ける部分から進めておくと、あとの手続きがスムーズになります。

会社・医師への証明依頼

申請書には、自分で記入する部分のほかに、勤務先と医師に書いてもらう欄があります。このふたつの証明がそろわないと申請できないため、早めに依頼しておくことが大切です。それぞれ役割が異なるので、何を証明してもらうのかを理解しておきましょう。

依頼が必要な証明は、次のとおりです。

  • 会社(事業主):休んだ期間や、その間に給料が支払われていないことの証明
  • 医師(療養担当者):働くことができない状態であったことの証明

会社の証明は給料の支払い状況を確認するために、医師の証明は「働けない状態だった」ことを裏づけるために必要です。医師の証明には日数がかかることもあるため、受診の際に早めに相談しておくと安心です。どちらの証明も申請には欠かせないので、余裕を持って依頼しましょう。

提出から振り込みまでの期間の目安

必要事項をすべて記入し、証明もそろったら、加入している健康保険へ申請書を提出します。提出後、審査を経て問題がなければ、指定した口座に傷病手当金が振り込まれます。どのくらいで振り込まれるのか、目安を知っておくと生活の計画を立てやすくなります。

提出から振り込みまでで知っておきたい点は、次のとおりです。

  • 申請書を提出してから振り込みまでは、おおむね2週間程度が目安
  • 記入漏れや添付書類の不足があると、審査に時間がかかることがある
  • 長期間休む場合は、給料の締め日ごとに1カ月単位で申請するのがすすめられている

提出後すぐに振り込まれるわけではないため、初回の入金までは手元の資金でしのぐ必要があります。1カ月単位でこまめに申請しておくと、その後の入金も安定しやすくなります。書類の不備は遅れの大きな原因になるので、提出前にもう一度確認しておきましょう。

傷病手当金の金額に関するよくある疑問

ここまでで金額の基本はつかめたと思いますが、実際の場面では細かな疑問も出てきます。退職後はどうなるのか、公務員は違うのか、休んでいる間に少しでも働けるのか。こうしたよくある疑問について、最後にまとめて答えていきます。自分の状況に近いものがあれば、参考にしてみてください。

退職後も同じ金額を受け取れる?

退職を考えている方にとって、退職後も傷病手当金を受け取れるかどうかは大きな関心事です。一定の条件を満たせば、退職後も引き続き受け取ることができます。このとき、受け取れる金額の考え方は在職中と基本的に同じです。

退職後の受給について押さえておきたい点は、次のとおりです。

  • 退職日までに健康保険の加入期間が継続して1年以上あること
  • 退職日の前日時点で、すでに傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること
  • 上の条件を満たせば、退職後も引き続き支給を受けられる
  • ただし、いったん働ける状態になると、その後再び働けなくなっても支給されない

このように、退職後の継続受給にはいくつかの条件があります。金額そのものは在職中と同じ計算式で決まりますが、退職後は前章で触れた老齢年金などとの調整が関わることもあります。退職と受給を両立させたい方は、退職のタイミングに特に注意しましょう。

公務員は受給額が変わる?

公務員の場合も傷病手当金に相当する給付があり、共済組合から支給されます。基本的な考え方は会社員と共通していますが、計算のもとになる仕組みや細かい取り扱いに違いがあることがあります。自分がどの共済組合に加入しているかによって扱いが変わる点に注意が必要です。

公務員の傷病手当金について知っておきたい点は、次のとおりです。

  • 国家公務員は国家公務員共済組合、地方公務員は地方公務員共済組合から支給される
  • 私立学校の教職員は私学共済から支給される
  • 基本的な計算の考え方は会社員と共通だが、細部は共済組合ごとに異なることがある

このように、公務員も傷病手当金に相当する給付を受けられますが、詳細は加入先によって異なります。正確な金額や条件を知りたい場合は、自分が加入している共済組合に直接確認するのが確実です。

受給中に副業・アルバイトはできる?

傷病手当金を受け取っている間に、少しでも収入を得たいと考える方もいるかもしれません。しかし、受給中の就労には注意が必要です。傷病手当金は「働けない状態」であることが前提の給付だからです。

受給中の就労について押さえておきたい点は、次のとおりです。

  • 傷病手当金は「働くことができない状態」であることが支給の前提
  • 副業やアルバイトで働けると判断されると、支給が止まる可能性がある
  • 「同じ仕事はできないが別の軽い仕事はできる」といった状況は、個別の判断になる

このように、受給中に働くことは、支給要件そのものに関わる問題です。安易に副業を始めると、傷病手当金が受け取れなくなるおそれがあります。働けるかどうかの判断は医師や加入している健康保険の判断にもよるため、就労を考える場合は事前に必ず相談しましょう。

※ この記事の内容は、全国健康保険協会(協会けんぽ)などの公的情報をもとに作成しています。制度は改正されることがあり、加入している健康保険や個々の状況によって金額や条件が変わる場合があります。正確な金額や手続きについては、加入先の健康保険や共済組合に確認することをおすすめします。

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